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川島永嗣、激動の1年を回想「葛藤するからこそ、自分が新しい気持ちを求める」

text by 編集部 photo by Getty Images

川島永嗣
FCメスのGK川島永嗣がインタビューで激動の1年を振り返ってくれた【写真:小川由紀子】

 今季からフランス1部のメスでプレーしている日本代表のGK川島永嗣は「フットボールチャンネル」のインタビューに応じ、新天地でのドラマティックな1年を振り返った。
 
 昨季まで在籍したスコトランドのダンディー・ユナイテッドFCが1部から2部へ降格したことを受け、移籍を決断した川島。しかし、フランスでのキャリアは順風満帆なものではなかった。

 すでに2人のGKが在籍していたメスに、川島は3人目として獲得された。オファーを受けた際は「出る保証は正直ない、ただ、競争はある」と言われたが、わずかな希望でも「今まで自分が思い描いてきたところにたどり着くためのチャンスを獲らない理由はない」と川島はあえて厳しい挑戦を選んだ。

 実際に飛び込んでみると、フランスではベンチ入りもままならない日々。ベルギーのスタンダール・リエージュや、ダンディー・Uでは先発出場が当たり前だったところから180度状況が変わった。それでも川島は「競争の中で勝っていくためにはどうしないといけないのか」「自分は外国人として何をチームにプラスアルファとしてもたらせるのか」を常に考えながら努力を重ねた。

 そしてついに今年1月8日、フランス杯のFCランス戦でメスでの公式戦デビューを飾る。控え組中心のメンバーではあったが、大きな一歩だった。リーグ戦では4月18日のパリ・サンジェルマン戦で初めて先発出場を果たした。

 日々の鍛錬が認められた川島は終盤戦で21歳のトマ・ディディヨンから定位置を奪い、最終的にリーグ戦5試合でゴールを守った。それでも川島自身が追い求めていた境地には達していないようだ。

「試合に出てみて、大きな一歩を自分の中で踏み出した、またひとつ結果を出せた、と思ったけれど、でもそれは自分の中で、『自分が今まで思い描いてきたものを達成できたんだな』という達成感、ではなかった」と率直な思いを語った。

 メス移籍の際に意識していた欧州5大リーグで日本人GKとしてピッチに立つという目標は叶えた。「1試合にかける気持ちが半端じゃなかった」大事なシーズンではあったが、それでも「『最初出られなかったけど、最後出られてよかったな』と言えるようなシーズンではなかった」と述べる。

「葛藤するからこそ、自分が新しい気持ちを求めるわけだし、逆に葛藤とかそういうものがなければ、自分の中から湧き出てくるものもない」

 34歳になっても川島の成長への意欲は衰えを知らない。2年契約のため、来季もメスでの挑戦を続けるつもりだ。

川島永嗣のインタビューはこちら

【了】

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