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日本代表 7年前

原口元気がイラク戦で味わった屈辱。ベンチで噛み締めた無力感…捲土重来への覚悟

text by 元川悦子 photo by Getty Images

「積み上げてきたものを勝って証明したい。必ず強い日本を見せたい」

原口元気
交代まで相手に執拗に削られながらも必死に戦った原口元気だったが…【写真:Getty Images】

 後半21分の左足ミドルシュートを筆頭にチャンスは確かにあった。それを決めていれば、20分を残してベンチに下げられることもなかっただろう。昨年11月のサウジアラビア戦(埼玉)で後半35分に決勝弾を挙げている通り、走力の高さが売りの原口には終盤の勝負強さもある。そこを評価してもらえなかった悔しさ、不完全燃焼感など、彼の中ではさまざまな感情が渦巻いたに違いない。取材エリアに現れた原口はこれまでにないほどの苦渋の表情を浮かべていたのだから。

 かつての中田英寿や本田のように日本代表の絶対的エースと認められたいと思うなら、苦しい時にチームを救うような明確な結果が求められてくる。W杯最終予選前半戦でブレイクした原口はその責務をよく理解しているはず。それだけの力をコンスタントに出すためには、所属クラブでのゴールも必要だ。

 今季ヘルタでは1ゴールに終わった彼は来季、新天地に赴く可能性が極めて高い。その舞台になると見られるイングランド・プレミアリーグには傑出した点取り屋がゴロゴロいる。ドイツのマインツ時代に2シーズン連続二桁得点を記録した岡崎慎司(レスター)でさえ、昨季5ゴール、今季3ゴールと思うように数字を伸ばせていない。移籍先のスタイルにもよるが、ゴールというハードルはより一層高くなる。

 そこで絶対的な地位を得られなければ代表での立場も危うくなりかねない。W杯最終予選ラスト2試合が行われる8~9月は来季開幕の直後。昨年はヘルタでトップフォームを維持していたが、同じ状態で新たなシーズンを迎えられる保証はない。この時期の欧州組はコンディションが万全でないケースが多いだけに、原口も覚悟を持って2ヶ月後を迎えなければならない。

「悔しかったですけど、次(8月のオーストラリア戦)に勝って決められるし、グループ首位なんで、全くネガティブではない。今日は当然勝ちたかったけど、今まで積み上げてきたものを次の試合で勝って証明したい。必ず強い日本をホームで見せたいです」という言葉を現実にすべく、イラク戦の屈辱感を大きな飛躍へのバネにしてほしい。

(取材・文:元川悦子【テヘラン】)

【了】

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