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Jリーグ 7年前

堂安律、笑顔での旅立ち。宇佐美貴史の背中を追って。感謝の念をパワーに変え欧州へ

text by 藤江直人 photo by Getty Images

公式戦3試合連続ゴール。パフォーマンスの明らかな変化

 なぜトップチームでプレーできないのか、という焦りにも近い気持ちが強すぎたゆえに、U‐23チームを率いていた實好礼忠監督(現ガンバ大阪ユース監督)からカミナリを落とされたこともある。

 だからこそ、退団セレモニーで残した言葉のなかには實好氏や、タイミングを見計らいながら辛抱強く待ってくれた長谷川健太監督への感謝の思いを込めることを忘れなかった。

「ガンバでの思い出を振り返ると、今年のいい思い出よりも、去年のJ3での悔しい思い出のほうが多く蘇ってきました。どうしたらトップチームで試合に出られるのかが分からず、自分はこのまま終わっちゃうのかなと本気で悩みました。

 そんな状況の中でもしっかり指導してくれた實好監督や、まだまだいけるぞとお尻に火をつけてくれた長谷川監督には感謝したい。そして、アウェイでも応援してくれたサポーターの皆さんのおかげで、ここまで駆け上がって来られたと思っています」

 迎えた今シーズン。開幕から流れを変える存在として試合に絡み続けた堂安は、初先発を射止めた4月21日の大宮アルディージャ戦で、待望のJ1初ゴールを含めた2発を叩き込む。

 これで勢いに乗ると、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)のアデレード・ユナイテッド戦、横浜F・マリノス戦と公式戦で3試合連続ゴールをマークする。結果を残したことで余計な気負いが消え、視野も広く保てるようになったのか。パフォーマンスの変化を、誰よりも堂安自身が感じていた。

「行けるかどうかが微妙なところで、無理に突っ込まんようになりましたね。球離れも早くなってきたし、そのおかげで不用意なボールロストも減ったと思います」

 志願して先発した、25日のフロンターレ戦でも然り。主戦場とした2列目の右サイドで、得意のドリブル突破から相手選手を十分にひきつけたうえで、日本代表MF倉田秋のシュートを導く場面を前半13分に作ってスタンドをわかせた。

 同44分にはペナルティーエリアの右隅で、キャプテンのMF遠藤保仁からのパスを受ける。利き足の左足でシュートを放つには絶好の位置だったが、トラップがやや乱れたこともあって、置き土産となるゴールを欲する思いを封印して左サイドにいた倉田へ絶妙のパスを通した。

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