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Jリーグ 7年前

恩師との出会いで変わった運命。清水・鎌田翔雅、プロ10年目・170試合目の初ゴール

text by 藤江直人 photo by Getty Images

湘南時代に経験したベンチ外の日々。原点を見つめなおすきっかけに

 2008シーズンからベルマーレのトップチームに昇格。反町康治監督(現松本山雅FC監督)のもとでJ1を戦った2010シーズンは、ジェフユナイテッド千葉へ期限付き移籍して武者修行を積んだ。

 満を持して、J2に降格した2011シーズンから復帰。曹監督と再び“子弟”の関係になった2012シーズンは40試合に出場し、プレー時間はチーム最長となる3447分間を数えた。

 最終戦で2位に食い込んでJ1への自動昇格をもぎ取り、迎えた2013シーズン。2‐4で逆転負けを喫した横浜F・マリノスとの開幕戦でフル出場した鎌田は、次節からこつ然と姿を消す。

 サガン鳥栖、エスパルス、ヤマザキナビスコカップ(現YBCルヴァンカップ)の大宮アルディージャをはさんで名古屋グランパス戦とベンチからも外れた理由は、決してけがをしていたからではなかった。

「もともとファイトできる選手なんだけど、マリノスとの開幕戦の最後のほうの時間帯は後ろ向きのプレーが多かった。そんなレベルの選手じゃないと僕は思っているし、(鎌田)翔雅が自分自身で考えてほしいという思いもあったので、何も説明することなく、1ヶ月くらいメンバーに入れませんでした」

 曹監督に疑問をぶつけると、こんな言葉が返ってきた。獅子の子落とし――。子供を立派に育てたければ楽をさせずに、あえて苦難の道を歩ませよという意味のことわざを思い浮かべずにはいられなかった。

 期待に応えるように、鎌田ははいあがっていた。サガン戦でメンバーから外れたときは「なぜなのか」とさすがに思ったが、スタンドから仲間たちが戦う光景を見つめているうちに原点を確認できた。

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