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香川真司 7年前

香川の居場所はどこに…? トゥヘルの遺産引き継いだ新生ドルト、前途多難なチーム作り

text by 舩木渉 photo by Getty Images

ボス体制でインサイドハーフに求められる役割とは

 つまり攻守における要がボス監督がアンカーに求める役割で、一方のインサイドハーフにはより攻撃面での決定的な仕事に加え、守備のスイッチ役としての仕事が要求される。前述の平均キーパス数で全体1位に輝いたのは、異次元のテクニックでアヤックスの攻撃をけん引し、11アシストを記録したインサイドハーフのハキム・ジィエフだった。

 そのジィエフもテクニシャンのイメージがありながら、守備では効果的なプレッシングでチームに貢献する。ボス監督は攻撃から守備への切り替え時に「5秒ルール」という決まりを設け、ボールを失ってから5秒以内に奪い返すことを意識させてきた。

 浦和戦でのドルトムントも、インサイドハーフとして起用されたセバスティアン・ローデとゴンサロ・カストロがボールを失った瞬間に猛烈なダッシュで相手にプレッシャーをかける場面が何度も見られた。

 元々ローデはより守備的な仕事で力を発揮するタイプで、球際の競り合いや出足の鋭さが売りのセントラルMFだ。カストロは攻守のリンクマンとして前と後ろを繋ぐ存在であり、創造性という意味では香川やマリオ・ゲッツェに劣る。

 それでも彼らが浦和戦でスタメン起用されたのは、まず守備でしっかりと形を作るためと思われる。アンカーに入ったヌリ・シャヒンに機動力と守備力の不安がある中、それをカバーするのはインサイドハーフ2人の役割だった。

 しかし、本来最終ラインからボールを引き出して前に運ぶはずのシャヒンが、浦和戦では機能しなかった。あまり下がらず、かといってパスをさばいた後に動き直して組み立てに関わるそぶりも見せない。

 香川は「なかなか前にスペースがない中で、ちょっと渋滞していた」と前半のドルトムントを分析したが、相手を押し込む中でシャヒンも前がかりになり、両サイドがフリーになっていた一方で中央には余裕がなくなっていた。

「サイドはフリーでしたけど、中に1回どういうタイミングかで入れないとフリーになってこないので、局面を打開できなかったですし、そういう意味ではなかなか苦しい展開だった。だからこそ動きの質だったり、コンビネーションも含めてもっともっと僕たちはトレーニングを積んでいかなければいけない」とは香川の言葉。

 攻守のバランスを整え、前がかりになりがちな若いチームを引っ張っていく役割が香川には求められるだろう。もちろん積極果敢に相手の動きを封じる守備も求められる。

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