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香川真司 7年前

香川の居場所はどこに…? トゥヘルの遺産引き継いだ新生ドルト、前途多難なチーム作り

text by 舩木渉 photo by Getty Images

「自分が中心に」。香川が今季にかける思い

ボス
ペーター・ボス監督は香川真司にどのような役割を与えるのだろうか【写真:Getty Images】

 一方で3-4-2-1の2シャドーも激戦区に違いない。浦和戦で2ゴールを挙げて猛アピールしたエムレ・モルや、決勝点を奪ったアンドレ・シュールレだけでなく、まもなく19歳を迎える急成長中のクリスティアン・プリシッチ、直前の体調不良で日本のファンにプレーを見せられなかったウスマヌ・デンベレ、長期離脱中のマルコ・ロイスといった実力者たちがしのぎを削る。出遅れた香川にとって厳しい戦いだ。

 ドルトムントはチームとして解決しなければならない課題が多く残されている。前線と中盤の連携が噛み合わない場面は多く、組み立ての起点を最終ラインに置くのかアンカーに置くのか、中央から崩すかサイドから崩すのかも曖昧だった。

 結果的に3ゴールを奪って逆転勝利したが、浦和戦はチームで崩して勝ったというより、個人能力の高さと卓越した個人戦術で勝ったと言える。

「個の力は本当に生かさなきゃいけないですし、ただそれがうまくいかなかった時にどう戦えるかもひとつ大事になっていく。そういう意味ではうまくバランスをとりながらも、自分をピッチで出し続けていければ。監督のサッカーだったりビジョンも僕はすごく好きですし、そういう意味ではこれからがすごく楽しみです」と語る香川の活きる場は必ずあるだろう。

 始動して1週間のため多くを求めることはできないが、ボス監督が率いたアヤックスは昨季スタートダッシュに失敗して最終的にフェイエノールトの逃げ切りを許した苦い思い出がある。ドルトムントというビッグクラブでスロースタートは許されない。

 現時点ではインサイドハーフとして攻守のバランスを整えつつ、武器である創造性でゴールを演出することが香川が生きる道になる。チームとしての完成形が見えづらい状況ではあるが、「自分が中心になってやっていかなければいけない」と決意を新たにした背番号23にボス監督がどのような役割を提示するか、しばらく見守っていきたい。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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