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Jリーグ 7年前

サガン鳥栖、右肩上がりのスポンサー収入。2つの分岐点、現社長就任とCygames社との契約

text by 藤江直人 photo by Getty Images

経営危機は過去の話。いまや地方クラブの“雄”に

 Cygames社とスポンサー契約を結んだこともあり、広告料収入を大きく伸ばしたサガンは2016年1月期の決算で300万円の黒字に転換させる。3期連続の単年度赤字を回避するととともに、今年1月期にも900万円の黒字を計上している。

 もちろん、現状に満足しているわけではない。営業費用(支出)の大半を占める2016年度のチーム人件費は14億7600万円と、前年度の11億500万円から3億7100万円も増えている。J1のなかでは3億8400万円増のFC東京に次ぐ数字だ。

 今シーズンも2年目を迎えたイタリア人のマッシモ・フィッカデンティ監督のもと、GK権田修一(前SKホルン)やFW小野裕二(前シント・トロイデン)、DF小林祐三(前横浜F・マリノス)、FW趙東建(前水原三星)らを補強。開幕後にカリアリから期限付き移籍で加入した、コロンビア代表FWビクトル・イバルボは7月から完全移籍に切り替えられた。

 こうした“攻め”の経営の背景には、補強によってチームの成績を向上させることで、伸び悩み気味の入場料収入を上向かせる狙いがある。実際、2016年度の入場料収入は5億5300万円で、前年度の5億7600万円から微減となっている。

 今シーズンは平均観客数1万7000人という目標を掲げている。9試合を終えた現時点では1万3742人と昨シーズンの1万2636人は上回っているものの、目標には届いていない。現在は勝ち点27の10位。白星を重ね、順位を上げていくことが観客動員増にもつながる。

 サガンの営業収益(売上高)を見ると、2014年度の18億8500万円から24億8900万円、27億6600万円と順調に推移。竹原社長によれば、来年1月の次期決算では、J1の上位で戦うための目安に据えてきた営業収益30億円に到達する見込みだという。

「目標を目指して、みんな頑張っていますからね。これからは、やはり勝つということが必要になってくるので、(どこかで)タイトルは取らないといけないと思っています」

 経営危機に直面したのは、もはや過去の話。いまでは地方クラブの“雄”としてお手本にもなっているサガンは、営業とピッチにおけるそれぞれのフィールドでこれからも泥臭く戦っていく。

(取材・文:藤江直人)

【了】

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