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Jリーグ 7年前

石川直宏、燃やし尽くして現役引退という決心。過酷な運命と前進の意思

text by 後藤勝 photo by Editorial Staff, Getty Images

「思ったように回復できていない」の意味

2010年南アフリカW杯前の親善試合には代表復帰を果たしたが、本大会への出場はかなわなかった
2010年南アフリカW杯前の親善試合には代表復帰を果たしたが、本大会への出場はかなわなかった【写真:Getty Images】

 そして腰椎椎間板ヘルニアで2014年の大半を欠場した翌2015年、今度こそはと再起したこの年の夏に、石川はまたも左膝を傷めた。8月2日のフランクフルト戦だった。後半開始からの途中出場。退いたのは66分だった。

 絶望的な状況で手術を決断。長いリハビリ生活に入った。昨年9月19日のJ3第22節で運命の「66分」に実戦復帰を果たし、つづく第23節にも出場したものの、再び状態が悪化して離脱。結局ドイツ遠征での受傷以来、2年間のリハビリがつづいている。石川は自身のブログに「思ったように回復できていない」と現役引退の理由を記した。具体的に、何が困難だと感じているのか。

 引退発表記者会見ののち、テレビ用の囲み取材があり、そのあとペン記者用の囲み取材があった。私はその場で「ブログに『思ったように回復できていない』とありましたが、それによってワンプレーの力が不足しそうだと危惧したのか、あるいはいいプレーができるけれど回数や時間が足りなくなりそうだと危惧したのか、どこを足りないと思ったのでしょうか?」と訊ねた。

 石川は次のように答えた。

「全体を通してですね。よくなる一方だと願いを込めて2年前に手術を決断しました。あのとき34歳だったんですけど、そういう年齢も関係なくいい方向に変えていきたいと思っていました。

 そのときのけがが原因ではあるんですけど、結局、いままでの蓄積が現在の状況につながっていて、だんだん理想なり求めているところの幅が狭まってきているのは事実なんですよね。最初は90分間試合に出続けて活躍することが目標だったんですけど、それがだんだんできなくなってくる感覚がある」

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