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代表 7年前

オーストラリア代表、日本戦はただのW杯予選にあらず。革命の集大成を示す夜

決戦の日がやってきた。ロシアW杯アジア最終予選で日本代表とオーストラリア代表が激突する。世界の舞台に立つ権利を勝ち取るために、オーストラリアは4年をかけてスタイルを進化させてきた。アジア最大のライバル・日本との試合こそ、アンジ・ポスタコグルー監督が始めた革命の集大成を示す場所になる。(取材・文:植松久隆)

text by 植松久隆 photo by Getty Images

エースFWが前日練習欠席。それでも信頼は揺るがず…

ユリッチ
エースFWトミ・ユリッチが前日練習を欠席。それでも指揮官の信頼は揺るがないか【写真:Getty Images】

「過去の最終予選で、オーストラリアに勝利したことはない」

 最寄りの浦和美園駅から試合会場のスタジアムまで歩く道中に掲げられていた某日本代表スポンサー企業の屋外広告には、冒頭のコピーが大書されていた。同行の豪人記者にその訳意を伝えると、非常に興味深そうにその広告を写真に収めていた。

 自信だろうか、余裕だろうか。試合前日会見にキャプテンの代役が予想されるマーク・ミリガン(メルボルン・ビクトリー)を伴って臨んだアンジ・ポスタコグルー監督は、日本戦特有の大勢のメディアを前にしても変わらずに落ち着いていた。

 その会見では、期せずして、上記のコピーと同じ意味合いの「オーストラリアは最終予選で日本に負けたことがないが、それについてはどう捉えるか」という問いが投げかけられた。

 それに対して、ポスタコグルー監督は「どちらが有利ということはない。明日は、日本もオーストラリアも同じ立場で対戦する。(中略)互いに最善を尽くす試合が非常に厳しいものになることは分かっているので、勝つために最大限の努力をする必要があり、ここまでもそれはうまくいっている。明日も今までと同じ姿勢、自分たちに勝利する力があると信じて、精一杯努力するまでだ」と自信をもって回答。いつもながらの独特の淡々とした語り口ながらも、その答えの一つひとつには大一番に臨むチームへの自信と信頼がにじみ出ていた。

 会見後に行われた試合前日練習。試合会場のピッチに姿を見せたのは総勢22名。急遽招集され到着したばかりのGKアダム・フェデリチ(ボーンマス)の姿もあったが、1名の選手が不参加。スタンドの上から目を凝らしてみれば、前日のトレーニングも休んだFWトミ・ユリッチ(ルツェルン)が見当たらない。前日は「到着が遅かったのでリカバリー優先」との広報のコメントが取れたが、今回は同様の確認が取れなかった。

 その後、今朝の時点でポスタコグルー監督が複数の豪メディアに「(ユリッチは)週末の試合でちょっとした打ち身があったようだ。しかし、試合当日には全然問題ない」と漏らしていたとの確度の高い情報を得た。その発言からも分かるように、週末(日曜)の試合で90分プレーをしただけに、疲労回復を優先させて万全を期したものと思われる。そう考えれば、前日練習の不参加があっても、当日の1トップでの先発は変わらないのではないか。

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