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好調マンUとご機嫌なモウリーニョ。スペシャルワンに戻った智将、赤い悪魔に復活の予感

text by Kozo Matsuzawa / 松澤浩三 photo by Getty Images

「スペシャルワン」に戻ったモウリーニョ

 指揮官は試合後に「完全に支配していた」と話したが、この試合のユナイテッドにはまるで死角がなかった。相手が中堅のレスターとはいえ、一寸の隙もない強さを感じざるを得なかったのである。

 また同時に印象的だったのは、凛として、清々しいモウリーニョ監督の表情だった。近年の彼は、苦虫を噛み潰したような険しい表情ばかりが目立ち、以前のようなチャーミングさが消えていた。しかしながら、この日の指揮官の立ち振る舞いからは、遡ること13年前、2004年にチェルシー新監督の着任会見で自身を「スペシャルワン」と形容していたころの余裕と自信が感じられた。

 レスター戦後の会見で、自身の采配が的中したことについて聞かれたポルトガル人指揮官は「いいプレーヤーが揃っているからだ」と冗談めかしながらも、こう説明した。

「マタはボールを持ってプレーするタイプで、ポゼッションのあるときにより真価を発揮する、ペイシェントな(編注:日本語ではたゆまず働く、勤勉な、根気強くといった意味が近い)ビルドアップが得意なプレーヤー。翻ってマーカスは、ボールのない局面でも走り回る選手だから、私は彼に『ルカクとの位置関係を考えながら動け』と指示したんだ」

「だが私の選手起用ではなく、選手たちのクオリティが高いからうまくいった。しかもただ質がいいだけではない。彼らは、チームのためにプレーしようというモチベーションも高い。先発出場だろうがベンチからだろうが関係ない、この集団はとてもソリッドだ。非常にフレンドリーなグループだ」

 まだ開幕から数試合こなしたばかりだし、昨季も開幕直後のユナイテッドは上々のスタートを見せていた。それでも、今季ここまでのチームにはサー・アレックス・ファーガソンが2013年に勇退して以来、チームに欠落していた「フォア・ザ・チーム」の意識が戻り、一体感が生まれているように映る。

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