元U-20W杯戦士も在籍。フィリピンリーグに参戦、日本人を中心としたクラブの挑戦

2017年09月30日(Sat)9時50分配信

text by 小川由紀子 photo Yukiko Ogawa
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洗濯機もない環境で毎日自分のユニフォームを洗濯

 ベガルタ仙台や横浜FCでプレーした大友慧選手は、『バガボンド』に出てくるワイルド侍のような風貌ながら、陽気なフィリピン人の気質ももつハーフプレーヤー。

 30歳を超えたとき、日本代表を目指すのは難しいとフィリピン代表を考え、(フィリピン代表の)佐藤大介選手を紹介してもらい、新たな道が拓けた。

「2つの選択肢があるのはありがたいことだな、と。母の祖国のこともほとんど知らなかったのでこの国のことも知れる。国際試合に出る、この歳になってそういう目標がもてることは素晴らしいことだと思っています。可能性があるならそこを目指してやりたい」

 インドネシアでは、常にスタジアムに3?4万人入る熱狂ぶりを体験。タイやミャンマーでもプレーし、2年間のブレイクを経て3ヶ月ほど前から復帰した。「キレを取り戻さないと」と日本人の栄養管理士さんの指導のもと、食生活改善に取り組むストイックなFWだ。

 大友選手は、今後のフィリピンサッカー界に必要なものとして、「プロ選手として集中できる環境、サッカー選手を価値がある存在にすること、それに13歳くらいから基礎技術を学ばせることが重要」だと話す。

「技術、戦術、スポーツ選手のためのフィジカルや食事など、いろいろな面で、プロ選手としてプレーする前の段階でやることはたくさんある。そのあたりをどう整備していけるか」

 下野淳選手は、サッカーカレッジの留学制度を利用してシンガポールに渡り、アルビレックス新潟シンガポールでキャリアをスタート。ミャンマーやモルディブのクラブにも所属した。

「シンガポールに行った時点で、日本に戻るつもりはなかったです。東南アジアでやっていこうと決めて。プレッシャーは国によって全然違いますし、また別の厳しさはありますが」

 レベルや環境の問題で、自分が理想としているサッカーができない、というジレンマは、「たぶんみんな抱えながらやっていると思う」と話す。プロ選手、と一口に言っても、ミャンマーやモルディブと日本では環境はまったく違う。洗濯機もない環境で毎日自分のユニフォームを洗濯し、日本人が誰もいない土地でWi-Fiもない中で暮らす。

「でもローカルの選手と仲良くしてなんとかやれる。会社から派遣された駐在員さんたちのようにいろいろ約束されている中で仕事をする、というのもありますが、それとは別の、サッカーだけで色々なところへ行けるというのはおもしろい。

 海外に住んで、かつ自分が情熱を注げることを仕事としている。こうやって続けてこられたのはラッキーだった。20代は苦労した方がいいと言いますよね。いま29歳なので、ちょうどよかったかなと(笑)。まだまだ違う国でやっていきたい」

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