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日本代表 7年前

乾貴士、「大人のフットボーラー」への変貌。「自分の限界」知りより高みへ

乾貴士はニュージーランド戦に途中出場して好印象を残した。もともと持っていた自身の武器に経験が加わり、チームのために戦う存在になっている。ハイチ戦は先発濃厚だ。(取材・文:元川悦子)

text by 元川悦子 photo by Getty Images

NZ戦で見せた打開力は新たなオプションに

乾貴士
本人謙遜も乾貴士の突破は武器に【写真:Getty Images】

 2018年ロシアワールドカップ本番への本格的サバイバルの第一歩となった6日のニュージーランド戦(豊田)で、決勝点を挙げた倉田秋(G大阪)、守備で奮闘した槙野智章(浦和)らとともに好アピールを見せたのが、後半25分からピッチに立った乾貴士(エイバル)だった。

「この前も言いましたけど、ヨッチ(武藤嘉紀=マインツ)があれだけ裏を走って相手をバテさせてくれたことが大きかった。自分はフレッシュな状態で入れましたし、2点目につながって勝てたのはすごくよかったですけど、自分自身としてはそんなに大きく評価はしてないです」

 10日のハイチ戦に備え、試合会場である横浜市内で8日に非公開で初練習を行った後、乾は努めて謙虚な物言いを見せていた。

 それでも、タテ関係に位置する長友佑都(インテル)との連係は目を引くものがあった。長友がタテへのボールを出して乾のドリブル突破力を引き出したり、乾に預けて長友が背後を上がったりと、2人のコンビネーションは相手にとって脅威になっていた。

「乾みたいなボールを持てる選手が後から入ってくることによって、引いた相手でも崩せるオプションになる。ニュージーランドが引いて5バックになり、中も固めている状況で最終的に点が取れたのも、乾がすごいチャンスも作っていたから。相手の運動量も減ってバテてる中で、彼のような選手が出てくると引いた相手を崩せるし、チャンスも増えるんじゃないか」と長友も乾の個人能力が今後の日本代表攻撃陣のカギになると公言していた。背番号14をつける技巧派アタッカーは指揮官に再招集された今年6月以降の短期間でそれだけ存在感を高めているのだ。

 そもそも乾が際立った打開力を持った選手ということは、「セクシーフットボール」で一世を風靡した野洲高校時代からよく知られていた。2007年にプロ入りした横浜F・マリノスでは分厚い選手層に阻まれたが、2008年6月に期限付き移籍した当時J2のセレッソ大阪では香川真司(ドルトムント)とのコンビでブレイク。弱冠20歳だった2009年1月のイエメン戦(熊本)で国際Aマッチデビューも飾った。短時間の出場で「今日はせっかくチャンスを与えられたのに、それを十分生かすことはできなかった。A代表の定着はこのままだと厳しい。もう一度、1から頑張りたい」と本人は不完全燃焼感を吐露したものの、同世代の香川や内田篤人(ウニオン・ベルリン)らとともに一気に代表の階段を駆け上がっていくと目された。

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