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日本代表 7年前

【U17W杯レビュー】日本、初心に帰ったイングランド戦。森山ジャパンの集大成で突きつけられた育成の課題

text by 舩木渉 photo by Getty Images

突きつけられた力の差。選手たちは次のステップへ

久保建英
久保建英の奮闘も虚しく日本はイングランドのゴールネット揺らせず【写真:Getty Images】

 それでも個々のクオリティの差はピッチ上で如実に現れた。「負けたのには足りなかったことがあったわけで、それはゴールにつながるクオリティや、ゴールに向かう迫力、あとラストのところですね。それはこれからの宿題」と森山監督は認める。

 やはりそれは攻撃面である。今回はイングランドを無得点に抑えたが、日本も無得点に抑えられた。「自信があった」というラスト20分、相手の足が止まり始めてから日本は主導権を握って何度もゴールに迫ったが、あと一歩が足りずネットを揺らせなかった。必ずどこかでイングランドの守備にほんの少しだけ上をいかれる。

 そういった極限状態で決定機を逃さない力、一瞬しかないチャンスを決め切る能力、局面打開における的確な判断、屈強なDFに当たり負けしないフィジカル、相手のプレッシャーをかわすプレースピード…挙げればきりがないくらい多くの課題が出た。これらは日本国内で共有し、より厳しい環境の中で研ぎ澄ましていかなければならないだろう。

 相手にした「個人の足し算ではNo.1」のイングランドを追い詰め、勝利までもう少しのところまで達しただけに、悔しさは大きい。だが、選手たちはまだ若い。W杯での経験はこれからのキャリアに必ず生きるはずだ。

「U-17でもU-16でもU-15でも、すべてはA代表でプレーするためにやっていますし、僕たちは17歳の日本代表ではなく、A代表としてW杯で戦わなければいけないと思います。僕たちはこの経験をできた以上、本当にその責任というか、『俺たちは世界を経験しているんだぞ』と、経験できなかった人よりも、その10倍くらい頑張らなければいけないと思いますし、常にA代表を目指して頑張りたいと思います」(菅原)

「ゴリさん(森山監督)の下でプレーできて幸せでした。本当に世界一の監督にしたかったですけど、僕の中では世界一の監督です。この2年半、このメンバーでやれて本当に楽しかった。遠征がある度に楽しみで仕方がなかった。このメンバーで優勝して終わるのが一番でしたけど、これから東京五輪とA代表があるので、そこでまたみんなと会えるように、優勝できるようにやっていきたいです」(福岡)

「今日で終わるという実感はないんですけど、いままで切磋琢磨してきて、みんなで今日は後悔をしない試合ができて、誰も後悔しない。本当にいいチームだったと思います」(上月壮一郎)

「もう試合がなくなっちゃったのは悔しいです。(W杯の経験は)マイナスにはならないでしょうね。絶対プラスになると思うので、でも、それもここからこの大会に出ていなかったような選手たちが活躍するかもしれないですし、経験をプラスにするかマイナスにするかは自分しだいだと思うので、帰って無駄じゃなかったと思えるように努力していきます」(久保)

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