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マンC、2年目で浸透した“ペップ・イズム”。「選手の才能を引き出す」指揮官の真髄

text by Kozo Matsuzawa / 松澤浩三 photo by Getty Images

最大の補強はGK。もはやストロングポイントに

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ベンフィカから獲得したGKエデルソンの活躍が今のシティの根幹を支えていると言っても過言ではない【写真:Getty Images】

 確かに、これら識者の言葉どおり、今季のシティの選手たちのプレーにはシャープさが増し、プレー判断や運動量が大きく向上している。ここまで絶好調で超絶アシストを連発するケビン・デ・ブライネや、2年目にしてシティファンのハートをガッチリ掴んだレロイ・ザネしかり、さらに言えば、ダビド・シルバやフェルナンジーニョといった30台の選手で、すでに伸びしろがないかと思われたベテラン陣でさえも例に漏れない。

 無論、指揮官が考えるサッカーを実践できている要因のひとつには、夏の間に自身好みの選手を獲得できたこともある。自分の目指すサッカーを展開するための基盤ができたのだ。そしてこれら新加入選手のおかげで、選手層が厚くなり、全体的にスケールアップしているのも、今季の強さの理由だ。
 
 最も大きな違いは、昨季最大の懸念点であったGKだ。このポジションにはブラジル代表のエデルソンが加わったおかげで、今ではシティのストロングポイントに変わった。

 敵のシュートをことごとくゴールに変えたクラウディオ・ブラーボが最終ラインに不安ばかりをもたらしたのに対して、エデルソンの安定感は抜群だ。素晴らしい体躯を誇り身体能力も高く、グアルディオラ好みの足もとの技術も備え、フィードの精度も格別。さらに瞬時の判断力も光る。

 先日、地元の『BBCラジオ・マンチェスター』のサッカー番組内では、参加したシティファンや元選手たちのほぼ全員がこのブラジル代表について「ペナルティエリアを支配している。夏の最も重要な買い物だった」と同意していたが、当然の評価だ。

 また同番組ではシティのレジェンドであり、1990年代後半から2007年までマンチェスター・ユナイテッドのGKコーチを務め、現在アストン・ヴィラのリクルートメント長となったトニー・コトンのコメントも紹介。「現状ではプレミアリーグにエデルソン以上のGKはいない。すべてを兼ね備えている」と伝え、「エデルソンの加入は、同時に守備陣に安心感を与えている」と付け加えた。

 コトンの指摘どおり、守備の基盤となる信頼の置けるGKを後ろに配した今季のストーンズとニコラス・オタメンディの安定度には目を見張るものがある。バーンリー戦前の記者会見では指揮官も2人について言及し、「とても感心している。攻撃陣について話すことが多いが、ジョンとニコはともに過去1ヶ月は特に素晴らしい」と喜んだ。

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