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Jリーグ 6年前

千葉、7連勝で昇格PO大逆転進出。ときに監督を無視、奇抜な戦術をモノにしたジェフの躍動【西部の目】

明治安田生命J2リーグ最終盤、驚異の7連勝で6位に滑り込み、J1昇格プレーオフの出場権を獲得したジェフユナイテッド千葉。リーグ戦の勝ち点こそ劣るものの、プレーオフ出場4クラブのなかでは最も勢いのあるチームと言えるだろう。フアン・エスナイデル監督率いるチームの勝負所での力強さはいかにして生まれたのか。長きにわたってジェフを取材する記者がその秘訣を読み解く。(取材・文:西部謙司)

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

4-4-2への変更で始まった7連勝

J2最終節のアディショナルタイムに決勝ゴールを決めた近藤直也(3番)
J2最終節のアディショナルタイムに決勝ゴールを決めた近藤直也(3番)【写真:Getty Images】

 7連勝の始まりは第36節ファジアーノ岡山戦だった。この試合からフォーメーションが4-4-2へ変わっている。前節の京都サンガ戦までの4-3-3から変更した理由はそのときのメンバーの都合だった。フアン・エスナイデル監督は「自分は4-3-3のほうが好み」と話していたので仕方なしの変更である。

 ところが、それが上手くいった。ラリベイの少し後ろでセカンドトップとなった船山貴之が水を得た魚のように調子を上げ、佐藤勇人と矢田旭の2ボランチがこぼれ球を拾って組み立てられるようになった。この2つが重要な変化である。

 船山はセンターにポジションを移したことでカウンターアタックの起点になった。サイドでは少し窮屈そうにしていたのが、方向を限定されない中央に入ったことでボールを一気に運ぶ推進力が生きた。船山の活用によって、ジェフユナイテッド千葉に欠けていた速攻が明確な武器になっていった。

 1ボランチから2ボランチへの変化はセカンドボールの支配につながった。J2の多くのチームは前線を1トップ+2シャドーで構成している。1トップにロングボールを打ち込み、こぼれ球を2シャドーが拾って攻めの形を作る。

 4-3-3のときの千葉は、1ボランチなのでこぼれ球を拾うのに不利だった。おまけに異常なほどのハイラインなので相手の2シャドーにボールを拾われるとピンチに直結する。ボランチが2枚に増えたことで簡単にこぼれ球を拾われにくくなり、たとえ拾われてもディフェンスラインの手前でプレッシャーはかけられる。

 それまでゴーイングマイウェイで、相手への対策をこれといってしてこなかったのが、期せずしてロングボール対応ができるようになった。

 岡山を3-1で下すと、松本山雅を5-1で粉砕して2連勝。ただ、ここまではホームゲーム。それまでもホームでは圧倒的に強かったので、この時点でまだ安心はできなかった。

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