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小林悠、川崎Fの主将として悲願の初優勝「憲剛さんと泣き合えたのは一生忘れない」

text by 編集部 photo by Getty Images

小林悠
小林悠はキャプテンを1年間勤め上げ、川崎フロンターレの初戴冠に大きく貢献した【写真:Getty Images for DAZN】

 明治安田生命J1リーグ最終節が2日に行われ、川崎フロンターレは大宮アルディージャに5-0で勝利。他会場で2ポイント差だった首位・鹿島アントラーズがジュビロ磐田と引き分けたため、勝ち点で並び得失点差で上回った川崎Fが悲願のJ1初制覇を果たした。

 今年からキャプテンを務めた川崎Fの小林悠は「最後終わるくらいにベンチが喜んでいたので、『あ、勝ったんだな。終わったんだな』と思って。笛が鳴った瞬間はいろいろな感情が溢れてきて、涙が凄く出ましたね」と、初タイトル獲得の瞬間を振り返った。

「正直キャプテンになった時、最初は自分の中で変な自信があって、自分がキャプテンやったらタイトル獲れるんじゃないかなと思っていた」という小林だが、待っていたのは決して楽な道のりではなかった。勝てない時期もあり、ACLやルヴァンカップのタイトルも手の届く距離にありながら、あと一歩のところで逃していた。

「最初は凄く苦労しましたし、憲剛さんがいままでどれだけのものを背負ってやってきたのかなっていうのを凄く感じた。なおかつキャプテンで2位をいっぱい経験している憲剛さんの気持ち、今年のルヴァンに負けたことですごく感じるものが多くて、本当にチームメイトに助けられましたし、スタッフ、鬼さん(鬼木達監督)含めてたくさんの人が支えてくれて、本当に今日のタイトルに繋がったんじゃないかなと思います」

 小林にとってチームキャプテンは初めての経験だった。「チームがどうすれば良くなるかっていうのをいろいろ考える時間が多かった。今までは、去年とかまでは自分の仕事に集中すればいいと思っていたんですけど、やっぱりピッチ内外のこととか、人間関係もそうですし、そういういろいろなことがあって。チームが勝つためにどうしたらいいのかというのを考えすぎた」と、今年1年の苦労を振り返る。

 だが、「途中から本当に、本当にキャプテンの考えを放棄うするくらいの感覚になって。自分は点を取って、ゴールを決めることがチームを引っ張ることだなと思いました」と語る。本人曰く「自分は点取ることだけを考えようと思ってからはすごくうまくいった」。

 きっかけはある取材で言われた「もっと自分が自分がというキャプテンがいてもいいんじゃない?」という一言だった。「意外とそういう簡単な一言で変われるんだなというか。僕単純なので、逆にそれが良かった」と小林は明かす。

 優勝が決まってから、ピッチで前任のキャプテン中村憲剛を探した。シーズン最初から最後まで、小林はこれまで以上に重い責任を背負っても、決して孤独な存在ではなかった。

「とりあえす自分が泣きすぎて、いろんなやつに乗っかられて分からなかったですけど、『憲剛さんどこだ、憲剛さんどこだ…』と思ったら、憲剛さんもめっちゃ泣いてたから、目が合った瞬間『う〜〜』って、2人で『ありがと〜〜』とか言って。お互いに、僕は1年しかやっていないですけど、キャプテンの重みとかもすごくわかるので、憲剛さんと抱き合えて、泣き合えたのは一生忘れないと思いますね」

(取材・文:舩木渉)

【了】

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