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日本代表 6年前

日本代表90試合出場の挑戦者。今野泰幸、ボランチとして挑むハリルJでのアピール合戦

text by 元川悦子 photo by Getty Images,Shinya Tanaka

「自分はハリルジャパンでは新参者。ベテランなんてとんでもない」

2014W杯コロンビア戦
2014年ワールドカップのコロンビア戦では前半に自身のファウルからPKを与えてしまった【写真:Getty Images】

 とはいえ、本人は圧倒的な実績がアドバンテージになるとは一切、考えていない。「自分はハリルジャパンでは新参者。ベテランなんてとんでもない」という謙虚な姿勢を頑なに貫いている。

 確かに、2015年3月に現体制の発足後、今野が日の丸をつけてピッチに立ったのは、2015年3月のチュニジア戦(大分)、ウズベキスタン戦(東京・味スタ)と2017年3月の2018年ロシアワールドカップアジア最終予選・UAE戦(アルアイン)、6月のシリア戦(東京・味スタ)、最終予選・イラク戦(テヘラン)の5試合だけ。決して試合数が多いとは言えない。

 今春のUAE戦で2年ぶりに復帰した時も、彼は「何をしたらいいのか全然分かんない」とネガティブな発言を繰り返していた。そこで衝撃的なパフォーマンスを示し、香川真司(ドルトムント)らを驚愕させたが、不運にも右足中足骨を骨折。2ヶ月半後に復帰するも、6月シリーズは不発に終わり、そこから再び半年間も代表から遠ざかった。

 こうした経験があるから「(代表は)いい選手が入るべきだし、悪かったら外れるのは当たり前。そこは理解してるつもり」と今野は慎重なスタンスを取っているのだろう。今回のE-1選手権もあくまで挑戦者として挑むつもりのようだ。

 ロシアワールドカップ本大会についても「特に何も考えていない」と無心であることを強調してきたが、3年前のブラジル大会での惨敗を忘れた日はないはず。中でも、アドリアン・ラモス(グラナダ)を倒してPKを与えたコロンビア戦(クイアバ)に関しては「あの試合は思い出したくない」と厳しい表情を浮かべたほど、彼にとっての深い傷になっている。

 その一方で「中盤での球際だったり、ルーズボールを全部持っていかれた。パススピードもムチャクチャ速くて、すごい差を感じた。自分たちも個のレベルを上げてかなきゃいけない」とも語っていて、世界レベルに少しでも近づきたいという思いは今も強い。

 奇しくもロシアの初戦はそのコロンビアが相手。因縁のチームに一矢報いるチャンスを得るためにも、今回のE-1選手権では今野が率先してチームを引っ張っていくしかない。彼の武器であるデュエルの強さ、ボール奪取力を遺憾なく発揮し、日本を勝利へと導いていけるか。
 

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