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規格外の突破力。リバプールFWサラー、スピードに加わった万能性【西部の目】

17/18シーズンからリバプールに加入し存在感を見せているモハメド・サラー。1992年生まれのエジプト代表で、2012年ロンドン五輪では3ゴールをあげている。プレミアリーグでも絶好調で、今季は目下得点王争いのトップに立つ。2017年のアフリカ年間最優秀選手にも選ばれた。スピードが売りのエジプト代表FWだが、その魅力は速さだけにとどまらない。(文:西部謙司)

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

エジプト人のように走れ(?)

モハメド・サラー
リバプールのFWモハメド・サラー【写真:Getty Images】

 80年代にバングルスの「エジプシャン」(Walk Like an Egyptian)という曲が流行った。エジプト風の歩き方はよくわからないが、現代のエジプト人は走ると速い。誰もサラーみたいには走れない。

 ムハンマド・サラー・ガリ、エジプト代表とリバプールのFWで現時点でのプレミアリーグのリーディング・スコアラーである。

 身長175センチと小柄なレフティ、プレースタイルはリオネル・メッシと似ている。直線を走るスピードはたぶんメッシより速い。エジプトのELモカウルーンというクラブでプレーしていたが、2012年2月1日にポートサイド・スタジアムの事件が起こる。

 ポートサイド・スタジアムで暴動が起こり74人死亡、負傷者1000人以上という大惨事になった。エジプト国内リーグは無期限延期となり、再開されたのは3年後だった。その間にスイスで行われた試合で後半だけプレーしたサラーがスカウトの目に止まり、スイスの名門バーゼルに移籍する。ポートサイド・スタジアム事件はサラーとは直接関係ないが、リーグ中止がキャリアを変えたわけだ。

 バーゼルで2シーズン、その後はチェルシーへ。フィオレンティーナへ貸し出され、ローマでプレーした後にプレミアリーグに復帰したが、行く先はチェルシーではなくリバプールだった。

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