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日本代表 6年前

ハリルJ、CF序列争いに変化か。2年ぶり追加招集の川又堅碁、日本人離れしたその迫力

9日、E-1選手権の北朝鮮戦に臨んだ日本代表。試合終了直前に井手口陽介がゴールを奪い辛くも白星スタートとなった。日本はボール支配率こそ高かったものの、なかなかチャンスは創出できず。むしろ北朝鮮のほうが決定機は多かった。そうした展開のなかでも何人かの選手は自身の長所を披露。ジュビロ磐田・川又堅碁の躍動は、ハリルジャパンのCF序列争いに変化をもたらすかもしれない。(取材・文:元川悦子)

text by 元川悦子 photo by Getty Images

心身ともにスケールアップして戻ってきた日本代表の舞台

北朝鮮戦で存在感を示したFW川又堅碁
北朝鮮戦で存在感を示したFW川又堅碁【写真:Getty Images】

 若き守護神・中村航輔(柏)の好セーブ連発に助けられ、後半途中まで0-0で乗り切っていた12月9日のE-1選手権初戦・北朝鮮戦(味スタ)。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は攻撃のテコ入れを図るため、後半26分に2枚目の交代カードを切った。先発で1トップに据えていた金崎夢生(鹿島)に代えて、川又堅碁(磐田)を投入。勝負をかけた。

 杉本健勇(C大阪)の負傷によって追加招集され、背番号9をつけた男にとって、今回は2年ぶりのA代表のピッチ。奇しくもその2年前の出番は同じE-1選手権だった。

 灼熱の中国・武漢で行われた同大会の初戦・北朝鮮戦と最終戦・中国戦で川又はスタメン起用されながら不発。チームもまさかの最下位に沈み、「もうちょいできたというか、やらなきゃいけなかったと思います。課題? うーん…、そうですね、結構な部分でまた成長できるようにしないといけない」と不完全燃焼感を色濃くにじませた。

 それから2年間も代表から遠ざかることになり、本人ももがき苦しんだが、名古屋グランパスでは田中マルクス闘莉王(京都)、ジュビロ磐田に移籍してからは名波浩監督や中村俊輔といった面々からアドバイスを受け、今季J1で14ゴールという結果を残す。オフの日にもジムに通って肉体改造にも励み、心身ともにスケールアップして、彼は代表の舞台に戻ってきたのだ。

 その成長ぶりは約20分間のパフォーマンスに随所に現れた。出場するや否や、彼はゴール前で相手を背負いながらタメを作り、味方に攻撃の時間を与えた。2年前はボールを収めたり、キープしたりする仕事に雑さが見て取れたが、今回の川又は確実にターゲットマンとしての役割をこなしていた。

「2年前は監督から『ワンタッチでやれ』と言われて、『ワンタッチ、ワンタッチ』ばかりになっていた。今日みたいに落ち着いてトラップしてはたいてってところがなかったんで、そこは変わったかなと。監督から言われていても、状況によっては自分で判断する。そのかわり、シンプルにやるところはシンプルにするっていう、ジュビロでやっていることが出ているかなと思う」と本人もしみじみ語る。

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