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日本代表 6年前

無名の存在からハリルJのジョーカーへ。柏・伊東純也が右サイドにもたらす推進力

text by 藤江直人 photo by Getty Images

無名のアマチュア時代から、波瀾万丈に富んだサッカー人生

 6大会連続6度目のワールドカップ出場を決めた8月のオーストラリア代表戦から、ハリルジャパンの右ウイングは浅野拓磨(シュツットガルト)と久保裕也(ヘント)が併用されている。

 浅野はオーストラリア戦で先制ゴールを決めたが、本来はセンターフォワード。50メートルで5秒9の快足を生かして縦へ抜けるプレーは圧巻だが、ウイングとしてのプレーには改善の余地を残す。

 久保が最も生きるのはセカンドストライカー的なポジションであり、2人に続く存在で、いま現在は招集リストから外れている本田圭佑(パチューカ)は絶対的なスピードに欠けている。

 逗葉高校から神奈川大学に進んだ伊東は、3年次と4年次を関東大学リーグの2部で戦った。その2年間で27得点18アシストをマークし、ヴァンフォーレ甲府からのオファーを勝ち取った。

 ルーキーイヤーの2015シーズンは、主に2トップの一角として30試合に出場して4ゴールをマーク。リオデジャネイロ五輪代表の候補になったそのスピードが、レイソルの目に留まった。

 迎えた昨シーズン。新天地でミルトン・メンデス前監督から、右サイドバックへのコンバートを告げられた。伊東本人には青天の霹靂だったが、いまではプレーの幅が広がったと受け止めている。

 もっとも、開幕3試合を終えた段階でメンデス前監督は電撃辞任。ヘッドコーチから昇格した下平隆宏監督は、アカデミーでは培えない絶対的なスピードを生かすうえで、伊東を右MFとして起用した。

 無名のアマチュア時代から、波瀾万丈に富んだサッカー人生を経験しながら万能型のウイングへと変貌を遂げた。プロの世界へ挑む道を開いてくれて、加入からわずか1年で最後は快くレイソルへ送り出してくれたヴァンフォーレには、いまでも感謝の思いを忘れていない。

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