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日本代表 6年前

J得点王&MVPの自信。ハリルも絶賛の川崎F・小林悠、3年がかりの代表初ゴール

text by 元川悦子 photo by Getty Images

ゴールで深まる自信。ロシアW杯へのスタートラインに立つ

 2017年に入ってからは、6大会連続W杯出場の切符を引き寄せた最終予選終盤も、11月のブラジル(リール)・ベルギー(ブルージュ)2連戦も招集見送り。彼自身のロシア行きに暗雲立ち込める状況になりつつあった。が、その風向きが変わったのが、川崎フロンターレのJ1逆転優勝と自身のMVP&得点王獲得だった。

 9月に3得点、10月に4得点、11月に1得点とゴールを積み重ねてきた男が最も輝いたのが12月2日のJ1最終節・大宮アルディージャ戦でのハットトリックだ。「クラブと代表は別なんで気持ちは切り替わっています」と今回のE-1の代表合宿入りした時、本人には浮かれた様子は全くなかったが、今大会に挑む小林悠には過去にないほどの自信が感じられた。

 9日のE-1初戦・北朝鮮戦では、金崎夢生(鹿島)が1トップ、自身が右FWに陣取った前半から後半頭にかけての時間帯は苦しんだものの、伊東純也(柏)が右サイドに入ったことで中央へポジションを変え、タテの2トップにシフトしてからはゴールへの迫力が出てきた。

 この経験値もプラスに働き、中国戦では1トップに君臨。ターゲットマンとしても堂々たる動きを見せ、前半から繰り返し決定機を迎えた。前半22分に植田直通(鹿島)の右クロスに頭で飛び込み、前半終了間際にも土居聖真(鹿島)の左からの折り返しに猛然と飛び込んでダイビングヘッドを放つも、ゴールだけが遠い。「今日は自分の日じゃないのかな」と小林の頭の中にも一抹の不安がよぎったという。

 それでも、最後の最後までゴールに突き進むに姿勢だけは捨てなかった。それが代表デビューから3年2ヶ月がかりの1点につながる。長い長い時間の積み重ねがようやくこの日、結実した。

「ボールを収めるところだったり、ヘディングの競り合い、つぶれるところではほとんど勝てていたと思うので、点が取れればアピールにつながると試合中にも思っていた。何とか1点ですけど決められらので、そこはアピールできたのかなと思います」と小林は安堵を口にする。ようやくロシアへのスタートラインに立てたという手ごたえも少なからずあったのではないだろうか。

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