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ユン・ジョンファン監督、C大阪を二冠に導き「ありえないことが溢れる1年だった」

text by 編集部 photo by Getty Images

ユン・ジョンファン
ユン・ジョンファン監督は就任1年目でセレッソ大阪を国内二冠に導いた【写真:Getty Images】

 第97回天皇杯全日本サッカー選手権大会の決勝が1日に行われ、延長戦までもつれる死闘の末にセレッソ大阪が2-1で横浜F・マリノスに勝利。J2からの昇格初年度ながら、YBCルヴァンカップと天皇杯の二冠を達成して2017シーズンを締めくくった。

 C大阪のユン・ジョンファン監督は、就任1年目でクラブに初タイトルと2つ目のタイトルをもたらした。1日の天皇杯決勝後の記者会見では「選手たちは本当にありえないことが溢れる1年を過ごしてきたと思います」と二冠達成を誇った。

「J2のプレーオフから昇格してここまでの成績をあげるのは決して簡単なことではないと思います。ルヴァン杯と天皇杯でともに優勝し、リーグ戦で3位に入るのは絶対に簡単なことではないと思います。これは誰か1人の力で成し遂げたものではなく、全選手、全スタッフ、そしてセレッソに関わるすべての皆さんの力で成し遂げたことだと思います」

 これまで実力ある選手たちが集まりながら、ここぞで力を発揮しきれていなかったC大阪をユン・ジョンファン監督は変えた。二冠を成し遂げられたチームの変化について問われた指揮官は「(二冠の
)要因として1つ取り上げるとすれば、勝とうとする姿勢です」と述べた。

 プレシーズンから厳しい練習を課し、古株のGKキム・ジンヒョンが「今年は本当にきつかった」と顔を歪めるほどの劇的な改革に取り組んだ。その結果「チームとしてやろうとするプレーを1人ではなく全員がやろうとしたことが、グラウンドでよく表現されていた」とユン監督は語る。

「自己を犠牲にして、献身的に走って、最後まであきらめない姿を見せることが、今のセレッソが一番変貌したところだと思います。それが身体と精神に染みついて、勝利を導く一つの原動力になったのではないかと思います」

 チームの成長を実感し、結果にも残した韓国人指揮官だが、二冠にも浮かれることはない。キム・ジンヒョンは「今日の監督はロッカールームで全然喜んでいなかった」と明かすほど、淡々と次なる1年を見据えている。

「(天皇杯優勝は)1年間走りきってくれた選手たちがやってくれた結果だと思います。選手たちに感謝のメッセージを送りたいと思います。現役時代に優勝できなかった天皇杯でしたが、指導者になって優勝できて非常に嬉しく思っています。ただ、これが全てではありません。すでに来季が1ヶ月後に迫っています。早く休みに入って、体を十分回復させて、来季に向けてのいい準備をしなければいけないと思っています。今年1年間、本当に皆さんお疲れ様でした。本当に感謝しております。ありがとうございました」

(取材・文:舩木渉)

【了】

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