横浜FMのエリク・モンバエルツ監督は3年間の仕事を終え惜しまれつつ退任する【写真:Getty Images】
第97回天皇杯全日本サッカー選手権大会の決勝が1日に行われ、横浜F・マリノスはセレッソ大阪に1-2で敗れてタイトル獲得を逃した。
序盤に先制した横浜FMだったが、追加点を奪うことができず。後半に1点を失って延長戦に突入し、 分に不用意なミスから古巣対決となったMF水沼宏太に逆転ゴールを奪われてしまった。2017シーズン限りで退任が決まっているエリク・モンバエルツ監督にとっては、残念な日本でのラストゲームになってしまった。
敗れた試合の後の記者会見でモンバエルツ監督は「得点した後、相手にボールをコントロールさせすぎました」と試合運びの拙さを指摘した。「セレッソには少し運があったのかもしれない。そしてセレッソのいい守備を崩すだけの自分たちの攻撃ができませんでした。連動や、自分たちのパス回しのスピードが遅かった。ボールを失うことも多すぎて同点に追いつくことができませんでした」ともフランス人指揮官は語る。
しかし、3年間かけて積み上げてきた自らの仕事に悔いはない様子。「この3年で我々はプレーモデルを持って、チームに落とし込もうとやってきました。3年目で形になり始めたと思います。来季以降、それがさらに高い質のものになってくれるのではないかと思います」と述べ、手塩にかけて育ててきたチームに対し「今の方向性を続けて欲しい」とエールを送った。
また、モンバエルツ監督は「マリノスのサポーターは本当に特別な存在でした。これからも私の心に残ります。マリノスのために素晴らしいサポートをしてくれて、そのことに感謝したいと思います。そしてサポーターの皆さんはきっと、今季のマリノスが見せたパフォーマンスに対して誇りを持ってくれると思いますし、ピッチで選手が見せるパフォーマンス、全力を出す姿勢に対して喜び、誇りに思ってくれると思います。(全力を尽くすことが)サポーターに対しての報い、感謝の印だと思います」とも。
横浜FMでは新シーズンから昨年11月までオーストラリア代表を率いていたアンジ・ポスタコグルー氏の監督就任が内定している。モンバエルツ監督は3年目にして若手を育成しながらタイトルにあと一歩のところまで到達したが、横浜FMに4年ぶりの天皇杯をもたらすことは叶わなかった。それでも晴れやかな表情でメディアにも別れを告げ、記者会見場を後にした。
(取材・文:舩木渉)
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