目玉となる選手が不在となるかもしれない
目標:ベスト16
ノルマ:1勝
2002年の日韓共催大会、2010年の南アフリカとベスト16に進出している日本だが、今大会も決勝トーナメント進出が第一目標となるだろう。
もっとも、イタリア人のアルベルト・ザッケローニ監督のもと、ポゼッションを志向する「自分たちのサッカー」に絶対的な自信をもって臨んだ前回のブラジル大会は、ひとつの白星を挙げられずにグループリーグの最下位で敗退している。期待を大きく裏切った理由を、長友は「完全に力んでいました」と振り返る。
「先ばかりを見て、一気に高く飛んでいきたいくらいの気持ちでしたけど、物事はそんなに簡単にはいかない。自信が過信に変わって、そこを相手に突かれて足元をすくわれたというか。足元をしっかり固めないと、上手くいかなくなったときに崩れるのも早い」
昨年末に自宅のあるフランスへ帰国したハリルホジッチ監督は、1月をグループリーグで対峙するコロンビア、セネガル、ポーランドの各代表を徹底的に分析する時間に充てると明言した。もっとも、映像を分析するだけではわからない部分もある。
2月には何人かのヨーロッパ組を訪問する予定だが、たとえばセネガルで脅威となるFWサディオ・マネ(リバプール)とチームメイトだったサウサンプトンのDF吉田麻也、ポーランドのFWロベルト・レヴァンドフスキとボルシア・ドルトムントでともに戦ったMF香川真司から、性格や癖を含めた生きた情報を入手する作業も求められてくるだろう。
日本にとって6回目のワールドカップは、初めて目玉となる選手が不在となるかもしれない。脱ポゼッション、堅守速攻路線をより鮮明にしているハリルホジッチ監督は、長く日本の屋台骨を背負ってきた本田圭佑、岡崎慎司、そして香川を昨秋から選外にしている。
基本フォーメーション「4‐1‐4‐1」のなかで本田は右MFとしてスピード、岡崎は最前線でボールを収める術、香川はインサイドハーフを務める場合のインテンシティーが足りないと指揮官の目には映っているのだろう。
あえて注目株を挙げれば、今冬にガンバ大阪からリーズ・ユナイテッドへ完全移籍し、レンタルでスペイン2部のクルトゥラル・レオネサに加入したインサイドハーフの井手口陽介か。
昨年6月にA代表にデビューしたばかりの22歳は、衰えを知らない運動量でボールホルダーにアプローチし、激しい球際の競り合いを展開。ミドルレンジからのシュート力にも長けた、ハリルホジッチ監督の申し子的な存在となっている。
一方で不動のキャプテンでもあるアンカーの長谷部誠は、昨年3月に手術した右ひざに爆弾を抱えていて、指揮官も「彼が出られないという、最悪の事態も想定して準備しなければならない」と危機感を募らせている。リスクマネジメントも大きなカギを握ってくる。
(文:藤江直人)
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