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バルサ、戦略的劣勢を覆す圧倒的な修正力。大健闘のエイバルを自滅に導いた不要な退場

text by 長坂祐樹 photo by Getty Images

エイバルの自滅。不要な退場が反撃の勢いを削ぐ

メッシ
バルセロナはメッシを筆頭に厳しいプレッシャーの中でも相手のほころびを的確に見つけ、エイバルを攻略していった【写真:Getty Images】

 エイバルは同じような戦術で後半に臨んだが、66分のオレジャナ退場でプランが崩れてしまった。右サイドで相手センターバックの1人と左サイドバックを押さえ込みつつチャンスメイクでも力を発揮していたチリ代表ウィンガーは、遅延行為で2枚目のイエローカードを提示された。チームの奮闘を台無しにする最悪の退場だった。

 左サイドで数的優位を得たバルセロナは、中央とサイドの両方をケアしなければならない相手の中盤の選手に対し2択を迫ることができ、高い位置をとった左サイドバックのジョルディ・アルバや、途中出場のフィリッペ・コウチーニョらは比較的フリーでボールを受けることができた。その証拠に、バルセロナの2点目は、フリーでボールを受けた左サイドのコウチーニョが起点となっている。

 今季リーガでの被シュート数が試合前の時点で181本とリーグ最少を誇っていたエイバルは、チームの強みでもある積極的な守備をより前面に押し出して個の力で勝るバルセロナに対抗した。一方のバルセロナは、それに真っ向から対抗する形で、丁寧なビルドアップからの崩しを試みた。

 試合開始からオレジャナ退場の66分まで、エイバルはボールの動きを基準にポジションをとりながらも相手選手に対して激しくプレスをかけ、バルセロナの組み立てを妨害できた。そこには、バルセロナに対するホームチームの戦略的優勢を見ることができるかもしれない。

 しかし最終的に勝利したのは、ボール保持にこだわったバルセロナであった。戦略的劣勢も、選手個々のもつ戦術的な修正力や引き出しの多さによって覆してしまうこのチームは、これからも打倒バルサに燃える対戦相手を困難に陥らせていくことだろう。

(文:長坂祐樹)

【了】

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