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バルサ、戦略的劣勢を覆す圧倒的な修正力。大健闘のエイバルを自滅に導いた不要な退場

text by 長坂祐樹 photo by Getty Images

バルサが見せた修正力。チャンスは少なくても…

 しかし、それでは好調のバルセロナを封じるには不十分であった。エイバルのプレス戦術が多くの場面で成功したということは、バルセロナにも少なからずもそれを抜け出す場面があったということを意味する。バルセロナは相手の激しいプレッシャーに晒される中で、解決策を模索した。

 例えば5分の、エイバルがミドルゾーンで4-4-2のブロックを作り積極的に相手にプレスをかけていたシーン。バルセロナの右サイドバック、セルジ・ロベルトのマークを任されていた乾に対し、ブスケッツが近づいて局地的に2対1のシーンを作り出した。

 ボールを貰ったブスケッツは、乾をつり出した瞬間にパス。それを受けたS・ロベルトは、さらにエイバルの左サイドバックを誘い出し、その裏へ抜けたイヴァン・ラキティッチへとパスを送った。最終的には、中央で待つリオネル・メッシにボールが渡り、エイバルは芋づる式に崩されている。

 また11分には、前線から下がったメッシがバルセロナのインサイドハーフ2人にマークにつくエイバルのボランチ2人の間でボールを受けたことにより、相手のプレスを脱出。14分には、2対2の状況となった右のS・ロベルトとラキティッチが縦の関係からポジションを入れ替えて横の関係になることでプレスをはがすことに成功した。

 数的、または位置的な優位を随所で見せたバルセロナには、数は多くはないがゴールのチャンスが訪れていた。そんな中で16分、先制点を決めたのは、ショートカウンターの流れからメッシとルイス・スアレスのコンビで点を取ったバルセロナだった。

 前半終了後のスタッツでは、ボール支配率はバルセロナが52%と上回るもののほぼ互角。シュート数に関しては、この日再三相手からボールを取り上げることに徹したエイバルが、バルセロナの4本に対して2倍の8本と上回っていた。

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