「どんないい話でも移籍したいとは思わなかった」。異端児・平本一樹、東京Vで引退という決断【谷間の世代と呼ばれて】

1979年生まれ組が「黄金世代」と称される一方で、「谷間の世代」と呼ばれていた1981年世代。ワールドユース(現U-20W杯)や五輪ではグループステージ敗退を経験したが、2010年の南アフリカW杯では決勝トーナメントに進出した日本代表チームで軸となる世代となり、今なおJクラブで主力を担う選手たちもいる。長きにわたって東京Vでプレーし、2017シーズン限りで現役生活を終えた平本一樹も81年生まれの1人。「異端」にも映るプロ生活を終えた大型FWは、FC町田ゼルビアで新たな一歩を踏み出している。(取材・文:元川悦子)

2018年02月20日(Tue)10時19分配信

シリーズ:「谷間の世代」と呼ばれて
text by 元川悦子 photo Getty Images
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「僕にはヴェルディで優勝したいって夢があった」

FC町田ゼルビアのクラブPRリーダーに就任した平本一樹
FC町田ゼルビアのクラブPRリーダーに就任した平本一樹【写真:元川悦子】

 石川直宏(FC東京クラブコミュニケーター)に藤ヶ谷陽介(ガンバ大阪ジュニアユースコーチ)と、2017年末には81年生まれのJリーガー数人がユニフォームを脱いだ。彼らとともに2001年ワールドユース(アルゼンチン)に参戦したU-20日本代表メンバーの1人である平本一樹も東京ヴェルディで現役生活に終止符を打つ決断をした。

「僕には小学校の頃からヴェルディで優勝したいって夢があった。一度決めた夢はなかなか変えられないもの。ヴェルディが2005年にJ2に落ちた時も、どんないい話をもらっても移籍したいとは思わなかったですね。

 現役が終わりに近づいてきて、自分の実力不足でその夢を実現できなかったことを申し訳なく感じたけど、プロサッカー選手として19年間はまあまあよくやったのかなという気がします」と2月からFC町田ゼルビアでクラブPRリーダーに就任した彼は爽やかな笑みをのぞかせた。

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 平本がヴェルディ(当時読売日本SC)ジュニアに入ったのはJリーグ発足の93年。カズ(三浦知良=横浜FC)やラモス瑠偉(ビーチサッカー日本代表)、北澤豪(日本サッカー協会理事)らを擁するスター軍団は圧倒的な強さと華やかさを誇った。

 偉大な先輩たちをジュニア、ジュニアユース、ユースと間近で見ながら育った平本にしてみれば、「自分がトップに上がって優勝したい」という夢を持つようになるのはまさに自然の流れ。98年のトップ昇格時はそれを果たそうという野心に満ち溢れていたに違いない。

 ところが、その98年末にメインスポンサーだった読売新聞社とよみうりランドが撤退。日本テレビの全額出資となったが、2001年には稲城市や多摩市、京王エージェンシーが経営参画して日テレの出資比率が低下するなど、クラブを取り巻く環境が目まぐるしく変化していく。スター選手も徐々に減り、J1でも苦戦を強いられるようになった。

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