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日本代表 6年前

西野“技術委員長”は一定の評価も…ハリル解任という「パルプンテ」。会長の狂乱が与える絶望

text by 植田路生 photo by Kenzaburo Matsuoka, Shinya Tanaka

ノー準備、ノープランで進む西野ジャパン

田嶋幸三&西野朗
田嶋幸三会長(左)は西野朗氏(右)を新たな日本代表監督に任命したが…【写真:田中伸弥】

 日本においてサッカーは新しいスポーツで、世界トップレベルからは遅れている。それでも世界と戦わなければならないので、日本に足りない部分を世界基準を知る外国人指導者の知見を借りながら進んでいく。ハリルホジッチもその1人だった。

 つまり、残念ながら日本人スタッフと外国人監督との間にはレベル差があり、理解できない部分に関しては外国人監督を信じて「おまかせ」するしかなかったのである。だからハリルホジッチのサッカーが田嶋会長の理解の範疇を超えていたとしてもやむを得ない。

 問題は、そうした状況にもかかわらず、結果以外を見て大きなジャッジメントをしてしまったことである。結果が出ていないのならばともかく、ハリルホジッチ前監督はワールドカップ出場を決めている。次に結果が問われるのは本大会しかなかったのだが…。

 西野新監督は就任記者会見で何も話していないに等しい。のらりくらりとするのはある意味「西野調」ではあるが、そこからは日本代表の未来像は見えなかった。無理もない。西野「技術委員長」はハリルホジッチ監督を解任するつもりはなく、想定外の事態に準備も計画もする時間がなかったのである。

 ノー準備、ノープランで西野ジャパンはスタートせざるを得なくなった。田嶋会長の「こういうときこそ日本人は力を発揮できる」という謎理論のもと。

 田嶋会長のパルプンテによって失ったものは計り知れない。ワールドカップの結果がどうなろうと、4年間の検証をし、次のワールドカップにつなげることができなくなった。土壇場でちゃぶ台を返したら上手くいきました、いきませんでした。それだけがわかる。

 そしてまた上手くいかなくなったらパルプンテが発動される。世界に追いつこうとしても強制的に巻き戻されるアンチユートピアの世界ができあがり、必死に努力している人々に絶望感を与え続けるのである。

(取材・文:植田路生)

【了】

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