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愛は金で買えない。愛想つかされるPSG、ネイマール獲得も失策に。リーグ優勝も一切話題に上らず…

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

優勝決定も、話題に上がらないPSG

マルセイユ
フランス国内の注目はELベスト4入りを果たしたマルセイユに向けられている【写真:Getty Images】

 優勝間違いなしの独走状態だったから、もはや毎節の結果などもたいした話題にはならない。

 目下フランスのサッカーファンが注目しているのは、皮肉にも、PSGの宿敵マルセイユのヨーロッパリーグ準決勝進出だ。マルセイユサポーター以外のニュートラルな人たちでさえ、フランスのクラブが欧州カップ戦のベスト4に進出したことに湧き、さらなる善戦に期待を寄せている。

 約290億円もの大金を投じてネイマールをバルセロナから引き抜き、フランスのみならずヨーロッパのサッカーシーンでPSGの名前が躍り狂うことを予想していたカタール勢にとっては、肩透かしをくらった気分だろう。CLではまたしてもラウンド16で敗退、3月以降はパタっと話題にも上らず、優勝してもさして盛り上がらないというのは、彼らにしてみれば完全に失策だ。

 試合後PSGのナセール・アル・ケライフィ会長は「この優勝が我々にとって容易いことだと思っている人は多いが、実際は選手たちのたゆまぬハードワークの賜物だ」と選手たちをねぎらい、ウナイ・エメリ監督も「レアル戦のあと、気持ちが落ちてもおかしくない状況だったのに、持ち直してパフォーマンスを上げてきた」ことを今シーズンのポジティブな収穫に挙げた。

 このあとまだフランス杯優勝の可能性もあるから、ダブル優勝という栄光を手にできるチャンスもある。しかし今季のこの成り行きを見て、この先いったいPSGはどこに行くのか? と、多くの人が疑問に感じ始めている。

 この試合のあとも、エメリ監督にそれを尋ねる質問が飛んだが、スペイン人監督は「国内では今のまま支配を続け、ヨーロッパでより強豪として成長していくこと」と答えた。

 驚いたのは、「わたしはこのクラブのそのプロジェクトを信じている」と語ったあとに、「私ありでも、なしでも」と付け加えたことだ。

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