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テア・シュテーゲンは『グローブをつけたメッシ』。完璧主義者、ノイアー越えなるか【西部の目】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

完璧主義者

 テア・シュテーゲンは自身を「完璧主義者」だと認めている。あらゆる事態を想定し、対戦相手の癖も頭に入れておくそうだ。それが一瞬の判断に役立つという。GKとしては当たり前のことなのだろうが、フィールドプレーヤーに比べて準備に万全を期す。

 準備の仕方はそれぞれだ。試合に使うグローブは3組用意するというGKは少なくない。試合前のアップ用と前後半用で3組。延長がある場合は4組目もありうる。テーピングの巻き方からアップの段取りまで、人によってそれぞれの準備をする。ハーフタイムにもずっと練習しているGKもいる。練習に一番早く出てくるのはGKと決まっているし、最後までいるのもだいたいGKだ。

 準備とともに集中力も重要である。とくにバルセロナのGKにそれが要求されるのは間違いない。相手に攻撃され続けていればGKは自然と集中力が増すが、バルセロナの場合は逆だからだ。たまにしか相手は攻めてこない。ところがその数少ない攻撃はかなりのピンチであることも少なくないのだ。

 大半の時間を相手陣内でプレーしている一方で、相手が攻め込んでくるときはカウンターが成功したときなので、テア・シュテーゲンは相手FWと1対1になるようなピンチを突然迎えることになる。

 スペインメディアの報道では、テア・シュテーゲンが4試合で20本のシュートを打たれ、19本をセーブしたそうだ。セーブ率は実に89.5%。枠へ来たシュートをほぼシャットアウトしている。シュートストップの技術とともに、集中力の高さがうかがえる。

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