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Jリーグ 6年前

名波ジュビロ、連敗にも悲観なし。躍動の2シャドー、昨季とは異なる色に見るチームの可能性

text by 青木務 photo by Getty Images

レギュラー奪取を目指す中村俊輔

 長期離脱中のアダイウトンは単独で守備網を破壊できるパワーとスピードを兼備していた。中村俊輔から「このチームの矢になる選手」と称されたブラジル人アタッカーは、相手に甚大なダメージを与える上でまさに磐田の武器だった。

 また、中村俊輔は試合をコントロールでき、効果的なサイドチェンジや何気ない切り返しで相手の注意を逸らし、味方を活かした。数手先の未来が読めるからこそのゲームメイクは、磐田の成長曲線を大きく引き上げた。もちろん、世界屈指のキックも健在だ。

 彼らは、昨季6位と躍進したサックスブルーの象徴的存在だった。そんな中で、現在は松浦と山田がシャドーとして力を示している。アダイウトン、中村俊輔のコンビとは異なる色だからこそ、大きな可能性を感じさせる。サックスブルーが進化している何よりの証と言えるだろう。

 そして、湘南戦で途中出場を果たした背番号10は「松浦も山田もいい感じだし、僕も一緒になってレギュラー争いしていきたい」と意気込んでいる。中断期間もチーム内で競争は続くだろう。リーグ戦が再開した時、シャドーの人選はどうなっているだろうか。

「自力で21ポイントを取ったこの自信というのは今後に繋がっていくと思いますし、今日のようなゲームを続けていければ、さらに高みに行けそうな気はするということは選手に言いました」

 湘南戦は落とした。しかし、名波監督は勝ちゲームの後のような充実感で試合を振り返った。それだけ試合内容に手応えを感じ、まだまだ成長できると期待を持てたということだろう。

 リーグ戦2連敗での中断期間入りとなった。しかし、その手には収穫も握り締められていた。

(取材・文:青木務)

【了】

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