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代表 6年前

ドイツ、連覇へのテーマは“可変性”。美学ではないポゼッション。理に適ったザネ落選【ロシアW杯注目国分析】

text by 本田千尋 photo by Getty Images

ザネ落選の理由は“ポリバレント”

ユリアン・ブラント
ザネではなくブラント(写真)が選ばれた理由は“ポリバレント”だったからかもしれない【写真:Getty Images】

ノルマ:ベスト4
目標:優勝

 レロイ・ザネの落選は波紋を呼んだ。6月4日、レーブ監督はロシアワールドカップ本大会に臨むドイツ代表メンバー23名を発表。そこに、今季マンチェスター・シティで躍動した22歳のウィンガーの名前はなかった。

 元ドイツ代表のミヒャエル・バラックは失望を露わにした。レーブ監督がザネでなくてユリアン・ブラントを選んだことに納得がいかない様子。レヴァークーゼン所属のMFを「若くて才能のある選手」と認めつつ、「ザネがプレーするレベルでプレーしていない。ザネはビッグクラブでよりレベルの高い選手たちとプレーしている」と批判した。

 一方、シティの監督ペップ・グアルディオラは「私はドイツ代表監督をとても尊重する。彼は自分の目に基づいて決断を下した」と同業者に理解を示すコメントを残している。

 確かに所属チームのレベルや選手個人の能力の差を比較すれば、ブラントではなく、ザネに軍配が上がるだろう。片やブンデスリーガを5位に終えたチームの主力であり、片やプレミアリーグを制覇したクラブの原動力である。

 しかし、ここで重要なのは、誰が選ばれて誰が落ちたといったような局所論ではないのではないか。レーブ監督は、代表メンバー発表時に「全体を見なければならない。我々はトーナメントにおいて可変性とバランスの取れた状態を構成し、不慮の出来事に備えなければならない」と述べている。

 ザネはウイングのスペシャリストだが、トップ下もインサイドハーフもこなすには難がある。そういった汎用性の高さという点では、ブラントに軍配が上がる。リオデジャネイロ五輪で銀メダルを獲得し、優勝したコンフェデレーションズカップにも参戦した22歳のMFは、戦術理解度が高く、2列目であればどこでもこなせる。レーブの言う「可変性」、言い換えれば“ポリバレント”という点で、今回はブラントが選ばれたのだろう。

 あくまで優勝を狙うドイツ代表は、決勝も含めた7試合をこなすことが前提だ。ノルマとなる準決勝で敗退しても、3位決定戦があり、やはり7試合をこなさなければならない。その過程では、突然誰かが怪我で離脱するという「不慮の出来事」も想定しなければならない。

 また、選手たちの疲労を考慮し、グループリーグ最終戦の韓国戦など、相手によってはローテーションを組む試合も出てくるだろう。大会を勝ち抜くことをトータルで考えれば、複数のポジションをこなせる選手が、監督にとって重要な存在となる。

 スペシャリティという点では、本大会のメンバーに選出されたドラクスラーもマルコ・ロイスも、ザネに劣らない。そして両選手はトップ下もこなせる。左サイドにユーティリティ性を備えた破壊力のあるアタッカーが2人いるのであれば、スペシャルなウインガーを1人欠いたとしても、チーム「全体」への影響は少ない。レーブ監督は、あくまで“総合力”を重視して、決断を下したのだろう。

(文:本田千尋)

【了】

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