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代表 6年前

ポーランド、脆弱な守備補うレバンドフスキらの破壊力。虎視眈々と狙う決勝T【ロシアW杯注目国分析】

 2018FIFAワールドカップロシアは連日、熱戦が繰り広げられている。各国がそれぞれの目標を達成するために23選手を選抜し、コンティション調整を続ける中、注目国の状況をチェックする。今回は日本と同じグループHのポーランド。(文:本田千尋)

text by 本田千尋 photo by Getty Images

もはやレバンドフスキさえ抑えれば失点を防げるチームではない

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ロベルト・レバンドフスキ【写真:Getty Images】

【ポーランド代表】
FIFAランキング:8位(2018年6月)
監督: アダム・ナバウカ(2013年~)
3大会ぶり8回目の出場
最高成績:3位(1974年西ドイツ大会、1982年スペイン大会)
欧州予選グループE1位通過

 振り出しに戻りかけた。6月8日に行われたチリ代表とのテストマッチ。アダム・ナバウカ監督は[4-2-3-1]の布陣でスタート。4バックで試合に臨むのは、昨年10月8日に行われたロシアW杯の欧州予選グループE最終戦、モンテネグロ戦以来のことである。

 予選10試合で14失点を喫したポーランド代表。無失点に抑えたのは、9月4日にホームで戦った8試合目のカザフスタン戦のみだった。本大会に向けてナバウカ監督は守備の改善を優先事項として掲げ、予選突破後の11月に行われたウルグアイとの親善試合から3バックに着手。

 それ以来、ウルグアイ戦を含む4試合のテストマッチを通して3バックの整備に力を入れてきた。3月のナイジェリア、韓国との2連戦を終えた後では、GKシュチェスニーを筆頭に守備陣も新システムに手応えを感じ始めていた。

 そうして準備を着々と進め、本大会を迎えようとしていた矢先、不慮のアクシデントがポーランド代表を襲う。6月4日、合宿地アルワムフでのトレーニング中にカミル・グリクが肩を負傷。ASモナコ所属のCBの本大会出場は、一時は絶望視された。

 代表チームにとってレバンドフスキに次ぐ重要な存在とされるグリク。チリ戦では、そんな大黒柱を失うようなことがあれば、チームに多大な影響を与えることが判明。

 ナバウカ監督は、前半を[4-2-3-1]、後半を[3-4-3]で戦った。グロシツキとブワシュチコフスキ、左右両サイドにパワーとスピードのあるアタッカーを揃え、ボール奪取時にはリブズ、ピシュチェクら左右両SBも一気に上がり、迫力のあるサイドアタックを見せる。

 主に攻撃を組み立てるのはボランチに入るクリホビアク。DFラインに近寄ってボールを貰っては捌き、ペナルティエリア近辺ではレバンドフスキにパスを供給。ダブルボランチの“相棒”リネッティは、攻撃時にはポジションを上げて鋭いドリブルで仕掛け、グロシツキの折り返しに合わせて飛び出してシュートを打つ。

 もはやレバンドフスキさえ抑えれば失点を防げるチームではない。セカンドトップのジエリンスキも積極的に攻撃に絡んでくる。エースFWだけを追っていれば、釣られたことで空けたスペースを周囲の選手に有効に使われ、失点に繋がってしまうだろう。

 一方、グリクを欠いた守備は、一転して不安定なものとなった。チリ戦では、パズダンとベドナレクがCBのポジションでコンビを組んだが、39分にサイドからライナー性のクロスを入れられて失点。後半はチョレクを加え、パズダンとベドナレクで3バックを形成したが、やはりサイドからのクロスに不安定な姿を見せ、セットプレーから失点を招く。実力と経験の両面において、30歳のベテランCBの代役は見当たらないのが実情だ。

 攻撃面では一定の手応えを掴んでいる。後は守備の安定を図るために、4バックと3バックのどちらを採用するのか。ナバウカ監督は、グリクの回復具合に目を光らせながら、セネガルとの初戦の直前まで頭を悩ませることになりそうだ。

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