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代表 6年前

ロナウドは止められる。それでも…薄氷こそポルトガルの真骨頂。蘇る欧州制覇の記憶【ロシアW杯】

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

ボールを支配するもロナウドのチャンスを作れず

 ある意味では、両者の思惑がかみ合ってしまった一戦で、先に誤算を感じたのはイランだったはず。

 イランは前線から中盤の選手がポルトガルに対して高い位置からプレスを仕掛けるものの、DFラインは攻撃を恐れてかラインを上げることができない。4-1-4-1でピッチを広くカバーするはずが守備陣と攻撃陣の意識が乖離したことで全体が間延び。中盤には大きなスペースが生まれていた。

 このスペースを活用したポルトガルは、ボール支配率75.2%を記録するなど中盤で自由にボールを動かした。パス本数はイランの191本に対して597本と3倍以上も上回った。

 しかし、ここでポルトガルにも誤算が生じる。ポルトガルの中盤には細かいパスワークから決定的なチャンスを生み出せる選手がいなかった。センターハーフのウィリアム・カルバーリョが93本のパスを出し、アドリエン・シウバが119本のパスで93.5%もの成功率を記録しながらもロナウドへ効果的なパスは出なかった。

 ボールを支配しながらも前線にパスが出ない。そうなると、ロナウドもボールを受けるために下がる。試合後のスタッツを見ると、過去2試合1回もなかったドリブルを7回も仕掛けている。

 その一方で、ロナウドのボールタッチ数を見ると、この試合では54回。そしてスペイン戦は52回、モロッコ戦は46回。50%を下回るボール支配率を記録した2試合とあまり変わらない数字となっていた。

 フィニッシュに近い形でボールを受けることができないロナウドは、53分にイランのGK アリ・レザ・ビランヴァンにストップされたPKのシーン以外に得点を期待させるシーンはなかった。

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