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スペイン、“逆カテナチオ”に必要なもの。ティキ・タカの異物、ジエゴ・コスタが鍵となる理由【西部の目/ロシアW杯】

 グループリーグの戦いは万全とはいえないものだったが、それでも首位で決勝トーナメントに駒を進めたスペイン代表。どのチームも守備を固めてくるため、泥臭くゴールを奪えるジエゴ・コスタの存在は大きい。先にスコアを動かせれば展開は楽になるが、初優勝を遂げた2010年南アフリカ大会では先制点がチームに力を与えていた。ジエゴ・コスタには引き続き、ゴールをこじ開ける役割が求められる。(文:西部謙司)

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

強引さと繊細さの同居

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ジエゴ・コスタ【写真:Getty Images】

 スペインの攻撃陣の中で1人だけ雰囲気の違う選手がいる。小柄でインテリジェンスに溢れた繊細なテクニシャンたちの先頭に立つジエゴ・コスタだ。ブラジル人だが、あんまりそういう感じもしない。188cmの長身、スピードとパワーを兼ね備えたゴールゲッターは他のスペイン人アタッカーにはない強引さを持っている。

 初戦のポルトガル戦では、ジエゴ・コスタの個人技から1点を奪った。縦1本のロングパスを受け、1人でDF3人を相手にパワーとテクニックで振り回してシュートをねじ込んでいる。これは他のチームメートにはできないプレーだった。

 一方、イラン戦では巧妙な動きでアンドレス・イニエスタからのラストパスを引き出している。イニエスタがワンツーでイランの守備網をはがした瞬間、ジエゴ・コスタはいわゆるプル・アウェイの動きで完全にマークを外していた。シュート自体はターンしたときに相手DFのクリアが足に当たって入ったものだが、そこまでの抜け出し方は完璧だった。豪快なプレーが目立つが、こうした緻密な駆け引きもできる。

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