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代表 6年前

今大会、ブラジルは違う。どこが違うのか? 守備の統率と攻撃の変化。完成度は近年最強に【ロシアW杯】

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

まさに鉄壁。守備のトライアングル

 左サイドでボールを受けたネイマールが中へ切り込み、中央でウィリアンにスイッチ。ボールを受けたウィリアンがグラウンダーのクロスを入れると、ファーサイドに滑り込んだネイマールがゴールへ押し込んだ。

 さらに88分、フェルナンジーニョのスルーパスを受けたネイマールがゴール前で出したパスにフィルミーノが合わせて2点目。結局、ブラジルは力の差を見せつける格好でメキシコを相手に2-0と圧勝を遂げた。

 2002年の日韓大会の優勝以降、ブラジルはロナウド、ロナウジーニョ、カカ、アドリアーノ、ロビーニョなど世界有数のアタッカーを有しながらチームとしての完成度は十分とは言えず、決勝にたどり着くことはできなかった。特に自国開催となった前回の14年大会はドイツとの準決勝で7失点を喫して崩壊。続くオランダとの3位決定戦でも0-3と大敗で大会を通して14失点を浴びていた。

 しかし、今大会は違う。何よりもCBのチアゴ・シウバ、ミランダ、アンカーのカゼミーロによるトライアングルはまさに鉄壁。今回のメキシコ戦でも立ち上がりに猛攻浴びてもこの守備陣が崩れる気配はなく、のちの反撃につなげている。

 このトライアングルの役割は、まずカゼミーロが豊富な運動量を生かしてDFラインの前に立ち、ハードなタックルで相手の攻撃スピードを遅らせる。この試合でも8回のタックルを繰り出し、チーム最多の9.47kmを走った。

 そして、カゼミーロがボールを奪うとチアゴ・シウバとミランダが完璧にボールを跳ね返す。過去にも世界に名高いDFが名を連ねたブラジルだが、組織力という点では今大会は随一といえる。

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