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西野Jも屈したフェライニの高さ。日本が持つコンプレックス、解決策の1つとは【西部の目/ロシアW杯】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

最も有力な遺伝子的解決

 両親はモロッコ人。モロッコ人がとくに大柄というわけではないので、父親の遺伝だろう。フェライニの父はプロサッカー選手でGKだった。

 日本代表がベルギーに逆転負けを食らった直接的な敗因が「高さ」である。フェライニを投入して高さ勝負に切り替えてきたベルギーの空爆を防ぎきれなかった。4年前のグループリーグ初戦で、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督率いるアルジェリアがベルギーをノックアウト寸前まで追い込みながら敗れたのもフェライニの高さによる。

 ベルギーはカウンターアタックが最大の持ち味だが、ポゼッションも上手い。しかし、それが上手くいかないとドリブラーたちの個人による打開が始まり、そうなるとたいがい行き詰まるが、最後の手段としてフェライニ投入による空中戦というカードを持っているのは強みだ。これに頼ってしまうがために進歩がない気もするのだが、日本に勝てたのはこれのおかげである。

 日本は高さ勝負に持ち込まれない工夫が当面必要になるが、高さコンプレックスの解消は課題の1つだろう。とはいえ、ほぼ体格の問題なので簡単には解決できそうもない。その昔、「日本がヨーロッパに追いつくためには何が必要か?」と問われて「国際結婚」と答えた日本サッカー界の重鎮がいた。そのときは冗談として受け取られたようだが、世界の強豪国は遺伝子によって身体能力のアドバンテージを手にしてきた。ベルギーが昔からロメル・ルカクのスピードやフェライニの高さを有していたわけではなく、せいぜいここ20年ぐらいの話なのだ。

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