合併を知った実家からの電話。「オレも無職になるの?」不安に駆られた元横浜Fのホペイロ【フリューゲルスの悲劇:20年目の真実】

2018年07月21日(土)10時00分配信

シリーズ:フリューゲルスの悲劇:20年目の真実
text by 宇都宮徹壱 photo Getty Images,Tetsuichi Utsunomiya
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「スパイク磨きだけではない」ホペイロの仕事

 当時、若手選手が暮らしている寮に一緒に住んでいました。入団したばかりの選手とか、車を持っていないので僕が送り迎えをしていましたね。それでも食事が出ましたから、寮生活は楽でしたよ(笑)。朝食後、7時半くらいに出て、8時には戸塚のクラブハウスに入っていました。

 そこから練習の準備。練習のスタートが9時とか9時半だったので、それまでにボールの空気を入れたり、ドリンクの準備をしたり。ホペイロの仕事って、単純にスパイクを磨くことだけではないんですよ。しかも基本的にひとり。チームマネージャーもいましたけれど、用具系の仕事は基本的に僕の範疇でした。

 選手のトレーニングウエアは、前の日の夜に洗濯してセットします。シャツは半袖と長袖、いちおう両方揃えておきます。薩川(了洋)さんみたいに、半袖しか着ない人もいましたけど(笑)。

 それ以上に癖があったのがモト(山口素弘)さん。シャツやパンツに、LとかMとかサイズが書かれたタグがあるじゃないですか。モトさんはあれが「カリカリして嫌だ」っていうので、タグは全部カットしていたんですよね。ちなみにモトさんは、スパイクにもこだわりがあって、普通は汚れを落としてからクリームを塗るんですけど、モトさんは塗ってほしくない人なんですよね。塗ってしまって、怒られたこともありました(苦笑)。

 練習中ですか? だいたいGK練習のサポートというか、ボール拾いとかをしながら、あとはフィールドの練習道具の準備とか片付けとかですかね。ひとつのトレーニングが終わったら、その場所を空けなきゃいけないので、いつもグラウンドを走り回りながら片付けと準備を繰り返していました。

 練習はいつもだったら午前中の一部練(習)で、二部練は合宿のときだけでしたね。練習を終えた選手から、順番にカゴに洗濯物を入れていくんです。早い選手と遅い選手とで時間差があるから、ある程度たまったらすぐに洗濯機を回して、その間に用具の片付けをして、それから再び洗濯物を回収して、という感じでした。

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