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覚醒に完全復活、その一方で…。新生チェルシーを分析。不満残る補強も、そのスタートは?【粕谷秀樹のプレミア一刀両断】

マウリツィオ・サッリ新監督のもと、新たなスタートを切ったチェルシー。移籍市場では指揮官の希望が叶えられず、GKクルトワの放出では後手を踏んだ。それでも開幕2連勝。その内容を精査する。(文:粕谷秀樹)

シリーズ:粕谷秀樹のプレミア一刀両断 text by 粕谷秀樹 photo by Getty Images

足元を見られたGKの交渉

ケパ・アリサバラガ
A・ビルバオから7200万ポンド(約103億円)で獲得したケパ・アリサバラガ【写真:Getty Images】

 少しだけ気の毒なスタートだった──。

 現場の意見が反映されなかったり、監督と主力が対立したり、近ごろのチェルシーは人事がギクシャクしている。この夏もアントニオ・コンテ前監督と上層部が、契約解除金をめぐってお互いの立場を譲らなかった。当然、2018-19シーズンのチーム創りで後れをとる。

 マウリツィオ・サッリ新監督は、ナポリから獲得したジョルジーニョのほかに、ゴンサロ・イグアインとダニエレ・ルガーニ(ともにユベントス)の補強も目論んでいたが、交渉のテーブルにすらつけなかったようだ。イグアインが「積極的だったのはサッリだけ」と語り、ルガーニのエージェントも「金額の提示があったにすぎない」と、チェルシー内部の温度差を感じさせる発言だ。

 また、ティボー・クルトワの移籍に伴う交渉でも機動力を欠き、レアル・マドリーとの交渉が成立したのは、プレミアリーグの市場が閉鎖される8日前。後釜の確保に時間がなくなり、アスレティック・ビルバオのケパ・アリサバラガを獲得するため、契約解除金の7200万ポンド(約103億円)を支払う羽目に陥っている。

 ビルドアップ能力ではクルトワを上まわるGKとはいえ、総合力でマンチェスター・ユナイテッドのダビド・デ・ヘア、マンチェスター・シティのエデルソン、リバプールのアリソン・ベッカーに迫るようなレベルではない。チェルシーはA・ビルバオに足もとを見られたのだ。

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