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覚醒に完全復活、その一方で…。新生チェルシーを分析。不満残る補強も、そのスタートは?【粕谷秀樹のプレミア一刀両断】

シリーズ:粕谷秀樹のプレミア一刀両断 text by 粕谷秀樹 photo by Getty Images

未完の大器、いよいよ覚醒のとき?

 辣腕CEOとして知られたピーター・ケニオンの退団以来、ウェストロンドンの強豪はビジネスが極端に下手になった。オーナーを務めるロマン・アブラモビッチは、強化担当のマリアナ・グラノフスカヤに全幅の信頼を寄せているものの、彼女は市場で顔が利かない。

 それでも、エデン・アザールとエンゴロ・カンテは残留した。スペインの市場が8月末日まで空いているため、マドリーとバルセロナの動きには警戒が必要だ。しかし、本稿執筆時点で両チームのメインターゲットはアザールでもカンテでもない。代えの利かない両選手は九分九厘、チェルシーに残ると判断していいだろう。

 さて、開幕2連勝。チェルシーは好スタートを切った。第1節はハダースフィールドに3-0の完勝。続く2節は21分までに奪った2点のアドバンテージを前半のうちに吐き出したが、終盤にマルコス・アロンソが決めてアーセナルを突き放した。シュート数は24本。その攻撃的な姿勢はサポーター間でも受け入れられ、本拠スタンフォードブリッジのノイズは昨シーズンよりも心地よい。

 さて、サッリ体制発足後およそ一ヶ月という時間を踏まえると、全体的には及第点だ。攻守の切り替えが素早く、だれひとりとしてハードワークを怠らない。

 あえて個人名を挙げるのなら、ロス・バークリーである。アーセナル戦では何度となくスプリントを繰り返した。あの怠け者がスプリントするなんて、この目を疑った!? 長年、ハードワークと戦術理解度の向上がテーマとされてきた未完の大器が、いよいよ覚醒するのだろうか。ジョルジーニョ、カンテ、マテオ・コバチッチとの定位置争いを制し、中盤で異彩を放つのだろうか。

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