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セリエA 6年前

また不発も… C・ロナウドにポジティブな目を。ユベントスにもたらした新機軸と機能性

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

ロナウドとマンジュキッチによる新機軸

 この日、マッシミリアーノ・アッレグリ監督は4-3-3のシステムのもとで先発を決めた。中盤にはブレイズ・マテュイディを加え、ミラレム・ピャニッチへのサポートを厚くする。前線には前述の通り、左ロナウドで中央マンジュキッチ。キエーボ戦の後半に試合をひっくり返した時の配置だ。

 ただ前半、C・ロナウドは左サイドではあまり仕掛けられなかった。ラツィオの組織守備が厳しかったからだ。ユーベの選手がボールを後方やサイドで持てば、選手たちが細かくスライドしてスペースを埋め、プレスに行く。マテュイディやアレックス・サンドロからのパスは切られ、あるいは遅らされる。ロナウドが早いタイミングでボールを貰い、前を向けるシーンは少なかった。

 加えて対面に立ちはだかったラツィオCBワラセも、集中したマークを見せていた。ロナウドがフェイントを織り交ぜ、背後のスペースを取ろうとしても、意図を読んでカバーリング。相手から常に目を離さず、中盤に下がっても付いてきた。

 だがアッレグリ監督は、ロナウドをただサイドで張らせるだけにはしなかった。ここで活きたのが、マンジュキッチの存在だ。センターフォワードをスタートポジションとした彼と、頻繁に位置を入れ替えさせる。相手DFにターゲットを絞らせないという狙い。そして先取点の場面では、見事に機能した。

 30分、ユーベのカウンター。中央に位置を移していたロナウドは、ふと中盤へと下がった。ラツィオの選手たちは、そこにぼっかりと穴を開けていた。この時ばかりにはワラセも付いて行かず、さらには中盤のフォローも遅れる。ロナウドはドリブルでボールを運び、右サイドでフリーになっていたフェデリコ・ベルナルデスキにパスを出した。

 もっともラツィオのDFの戻りは早く、ベルナルデスキは折り返すタイミングを逸した。DFラインが整い、コースはない。だがここで、ファーに手を上げて合図を送ったのがマンジュキッチだ。中央にはロナウドと、前線に飛び出したマテュイディとサミ・ケディラ。その大外にポジションを取った結果、あまり空中戦には強くないラツィオ右WBアダム・マルシッチとのミスマッチができていたのだ。

 クロスが上がり、空中戦に競り勝ってヘッドで落とす。これはDFに弾かれるが、こぼれ球にはピャニッチがフリーで反応。ダイレクトでシュートに行き、先制点が決まった。

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