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日本代表 6年前

日韓戦に敗れての銀メダルが意味すること。東京五輪世代がアジア大会から持ち帰る「悔しさ」

text by 舩木渉 photo by Getty Images

耐え抜いて延長戦まで持ち込んだが…

 だが、やはり迫力が日本とこれまでに戦ってきたチームとは段違い。序盤から勢いよく前に出てきた韓国に対し、日本は防戦一方となる。ただ、ゴールだけはなかなか生まれなかった。「選手たちが韓国の強力な攻撃陣に対してタフに粘り強く戦ってしのいでくれて、そこからチャンスを狙う展開を、集中力切らさず続けてくれていた」と森保監督が語るように、守備陣の奮闘は目を見張るものがあった。

 相手の突破に対してしつこくついていき、シュートには体を投げ出してブロックに入る。ヘディングの競り合いも臆する事なく挑む。3バックの中央で獅子奮迅のプレーを披露した立田は「90分間しっかり守備の距離感も良かったですし、1人抜かれても誰かがくるという状態は作れていた」と守備面での手応えを口にする。

 確かに前後半の90分間はよく耐え切った。いつゴールを割られてもおかしくない展開を五分五分に持ち込み、韓国の勢いが落ち始めた後半の中ごろには、三好を中心にいくつかチャンスも作った。日本の決定機の数は片手で数えられるほどだったが、戦術や実力差、試合の流れを踏まえれば致し方ない。延長戦に持ち込めば、焦りの出てくる相手に勝機も見えてくるはずだった。

 しかし、落とし穴はまたも立ち上がりにあった。延長前半3分、ソン・フンミンがペナルティエリア左から仕掛けて中へ切り込むと、足もとからボールが離れた瞬間にイ・スンウが左足を振り抜く。途中出場ながらそれまで存在感が希薄だった東京五輪世代の一番星が、ここぞで韓国に希望をもたらした。

 韓国には金メダル獲得と同時に、国民の義務である「兵役」の免除がかかっていた。そのプレッシャーとも戦いながらの試合で、残り時間が少なくなるほどに焦りも出てくるはずだったが、イ・スンウの一発で逆に勢いが出てしまった。

 延長前半11分、今度は日本の右サイド深い位置からゴール前に蹴り込まれたフリーキックに、ファーサイドでDF初瀬亮のマークを振り切ったFWファン・ヒチャンが打点の高いヘディングシュートを叩き込む。残り20分を切って2点のビハインドを背負った日本は、延長後半10分に上田が一矢報いるも、反撃及ばず。1-2で敗れた日本は最後の最後で甘さが出てしまい、惜しくも銀メダルに終わった。

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