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マンU、モウリーニョに近づく解任の足音。悪化するチーム状況、希望の光が見えぬ赤い悪魔

text by 小澤祐作 photo by Getty Images

まさに不調同士の一戦

 もちろん指揮官からすれば結果を残してクラブに留まりたいはずだ。ただ、今は肝心の結果が出ていない。そのため、チャンピオンズリーグ(CL)・グループリーグ第2節、対バレンシア戦は、当然だが勝利が絶対条件であった。

 対戦相手のバレンシアもまた、不調が続いていた。リーグ開幕6試合で勝ち星なし。9月29日に行われたリーガ・エスパニョーラ第7節の対レアル・ソシエダ戦でようやく今季初白星を掴んだが、チームが未だ最適解を探り続けている印象は否めない。

 そんな低パフォーマンスが続く両者がぶつかり合った今回の試合だが、やはりお互いに「不調」だった。

 試合開始からホームのマンチェスター・Uは素早いプレスを仕掛け、相手にビルドアップの隙を与えないなど良い入りをみせた。最終的にはフィニッシュまで持ち込むシーンも増え、確実にゴールへ近づいていた。

 ロメル・ルカクとアレクシス・サンチェスは流動的にポジションを入れ替えながら相手のディフェンスラインをかき乱し、左サイドのマーカス・ラッシュフォードは果敢にドリブルを仕掛け、独力で局面を打開した。そこにポグバやマルアン・フェライニが参加し、攻撃時はより厚みをみせることができた。

 ただ、徐々にバレンシアにボールをキープされると、ハイプレスもかわされ始め、ピンチを迎えるシーンが増えた。カウンター時のミスも連発し、相手の脅威とはならない。何とかシュートまで持ち込んでも、相手DFのブロックに遭っては、また攻撃をやり直す。

 自陣でボールを奪っても前線にパスを供給することはなく、最終ラインまで下げてもう一度組み立てをやり直す。こうした状況にはオールド・トラフォードに足を運んだサポーターもご立腹の様子で、凄まじいブーイングがスタジアムに鳴り響いた。

 結局、試合は0-0のまま終了。不調同士が繰り広げたゲーム展開からして、妥当な結果ではあったのかもしれない。

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