「僕が日本代表に入るくらいなら…」。権田修一が訴える危機感、世界と渡り合う日本人GKの必要性

2018年10月11日(Thu)11時27分配信

text by 舩木渉 photo Getty Images
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世界の壁を破るためにトップレベルのGK育成を

山口瑠伊
U-21日本代表GK山口瑠伊は欧州で一流の指導を受けてプロになった【写真:Getty Images】

 Jリーグで10年以上キャリアを積み上げ、J2降格も経験し、欧州の基準も知るからこそたどり着いた境地。毎試合万全な準備をして、勝利のためにベストを尽くし、権田は常にレベルアップを志している。

 とはいえ世界あるいは欧州のトップレベルを経験した経験のある日本人GKが少ないのは、先に述べた通り。4年に一度のワールドカップで体感することはあっても、やはり日常的に「世界」を感じられる環境に勝るものはない。

 若くして日本を飛び出したGKたちからは、いくつか興味深い発言を耳にした。現在スペイン2部のエストレマドゥーラUDに所属するU-21日本代表GK山口瑠伊は、FC東京U-18からフランスの育成の名門ロリアンの下部組織へ移籍して「メンタリティが一番変わったと思います。『とにかくゴールを入れさせないこと』はフランスでよく言われていて、そのために1日1日練習しています。(日本では)GKとしてのディフェンスだったり、テクニックだったりが重視されていて、フランスに行ったら『ゴールを守る』ところをより意識するようになりました」と話していた。

 現在サガン鳥栖で権田とともにプレーするファンティーニ燦は、イタリアのチェゼーナで育成された。彼も本場の指導を受ける中で、セリエAでも実績豊富なベテランGKと身近に接して「あるときミカエル・アガッツィ(元ミラン、カリアリなど)が紅白戦をしていて、他のベテランの選手と違って若手だけに特別な声をかけているような感じがして、それはすごく驚きました。コミュニケーション能力が違いましたね」と、トップレベルとの差を肌で感じ取った。

 彼らは一流の「『1』を『0』にする」ための術を、すぐそばで体感しながら育ってきたわけである。一方、日本には同様の高いレベルを身近に感じながら指導を受けられる環境がない今、世界と対等に渡り合える日本人GKを輩出するには海外へ挑戦させるしかないのかもしれない。だが、個人レベルだけではあまりにも先が細すぎる。

 日本代表がワールドカップでベスト8以上を目指すのであれば、GKのレベルをもう1段階、2段階上げなければいけないのは間違いない。まずは権田が言うように目の前の試合でゴールを死守して「『1』を『0』にする」ために全力を尽くし、状況に応じた最適な判断を積み重ね、レベルアップのために個々が細部のあらゆるところまでこだわりを持って地道に突き詰めていくことが成長への最長にして最短のルートになる。

 さらに並行して、より長期的な目線に立ったGKの育成プランを作らねばならない。それは一流の指導者を招へいする、若手選手を海外に送り込むなど様々な形が考えられるが、「世界と対等に渡り合える日本人GKの育成」は、4年後を見据えて日本サッカー界が真剣に取り組まなければならない重要テーマだ。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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