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ドルトムントはまだまだ発展途上。時折覗く脆さ、それでも・・・9戦無敗がもたらす自信

text by 本田千尋 photo by Getty Images

ドロー決着も深刻に考える必要なし

 27分には、ダフートのパスでゲッツェに裏に抜け出され、一発で守備組織を無効化されて失点を招いたが、ヘルタは粘り強く戦った。41分にはダフートからのピシュチェクへの横パスを、マキシミリアン・ミッテルシュタットがカットして、ロングカウンターから最後はカルーが決め切って同点に追い付く。61分にはハキミとラファエル・ゲレイロのコンビネーションで崩されて、再び失点した。だが、最後の最後まで試合を放棄せず、土壇場で追い付いたことは先述のとおりである。

 10月6日の対FCアウクスブルク戦でもそうだったが、敵がしっかりと“対策”を練ってくると、ドルトムントは少し脆いところがあるようだ。もちろん3日前にアトレティコ・マドリーに完勝したとは言え、今季新体制が始まってまだおよそ2ヶ月しか経っていない。システムの“最適解”は見つかったが、まだまだ発展途上にあるとも言える。そう考えると、ヘルタ戦でドローに持ち込まれたことは、そこまで目くじらを立てなくてもいいのかもしれない。

 GKビュルキは振り返る。

「試合開始直後に雰囲気は落ち込んだが、我々は忘れてはならない。今日は負けなかったということと、ブンデスリーガで9試合を終えてまだ一敗もしていない、ということをね」

 快進撃が続いているため、知らず知らずの内に周囲のドルトムントに対する期待値が高くなっているようだ。しかし、シーズンが始まる前に掲げられた目標は、来季チャンピオンズリーグの出場権を獲得すること。優勝して王者の称号を奪還することではなかった。

 土壇場でザガドゥがPKを与え、勝ち点3を逃しはしたが、そこまで深刻に捉える必要はないのかもしれない。ビュルキの言うとおり、「ブンデスリーガで9試合を終えてまだ一敗もしていない」。少なくとも来季CL出場のためには、十分な戦績である。

(取材・文:本田千尋【ドルトムント】)

【了】

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