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「第二のワニャマを」。本田圭佑がアフリカで挑む原石発掘プロジェクト

text by 編集部 photo by SOLTILO

本田圭佑
2017年にアフリカで巡回型のサッカースクールを開始した本田圭佑【写真提供:SOLTILO株式会社】

 現役選手でありながらカンボジア代表の監督を務め、また経営者としての顔を持つ本田圭佑。2017年にはアフリカで巡回型のサッカースクールも開始。約1年が経ち、さらなる加速を見せている。

 本田がプロデュースするサッカースクール「ソルティーロファミリアサッカースクール」は2017年12月にアフリカでチャリティープロジェクト「AFRICA DREAM SOCCER TOUR supported by Car-Tana.com」をスタートさせた。本田の思いを受け継いだコーチたちがルワンダ、ケニア、ウガンダの難民や恵まれない家庭の子どもたち向けに無料でサッカースクールを行っている。

 このほど、ジンバブエでも同プロジェクトを始動。2019年は合計で約1,200名の子どもたちへの指導を予定しているという。

 少しずつ実を結びつつある。これまで指導した子どもたちのうち4人(2018年11月現在)を各国の提携するアカデミーに推薦できた。その国ではトップレベルのアカデミーで、プロへの第一歩となる。プロジェクトを統括する二村元基氏は「第二のワニャマを育てたい」と意気込む。

 ケニア出身のビクター・ワニャマは現在トッテナム・ホットスパーに所属する同国を代表する選手。ワニャマのような欧州の第一線で活躍する選手の発掘は簡単ではないが、提携するアカデミーのコーチも指導するなど、原石を適切に磨いていく土台づくりも同時に行っている。選手だけでなく指導者も含めた総合的な指導プロジェクトだ。

 同プロジェクトはサッカーを通じて夢を持つ大切さを伝え、子どもたちの自立を手伝うことが目的。だが、サッカーではトップレベルの門戸を閉ざされた子どもたちに対しては、別の夢を追うきっかけを提供する予定だ。例えば、支援企業を通じて技術者やプログラマーへの養成講座を開くことも想定している。

 はじめは3社のスポンサーで始まった同プロジェクト。現在支援企業は8社にまで増えた。今後は個人での寄付など少額での支援も受け付けていきたいという。

 スクールには、スラムに住んでいるなど恵まれない家庭の子どもも多い。アカデミーに推薦しても、わずか10ドルのユニフォーム代を工面するのも簡単ではない。厳しい環境で生きる子どもたちに夢を持つきっかけを与えたいのが本田の願いだ。その先には「世界を変えたい」という野望がある。

 本田発案のプロジェクトは壮大なものだ。すぐに結果が出るものではない。10年後、あるいは20年以上先に、「本田スクール」出身者が世界を驚かすかもしれない。もちろんそれがサッカーの世界であるとは限らない。

(取材・文:植田路生)

【了】

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