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Jリーグ 5年前

川崎Fが連覇で作り上げた常勝への「道」。別次元の強さ、終わりなき「やるべきこと」の追求

text by 舩木渉 photo by Getty Images

連覇が意味するもの。経験は未来に受け継がれる

中村憲剛
中村憲剛がつくってきた「道」は川崎フロンターレの財産として未来永劫残り続ける【写真:Getty Images】

 フロンターレに当てはめれば、2012年に風間八宏という革命家が「現れ」、タイトルを獲得した経験という「標識」のないところから、連覇を成し遂げた今につながる革新的なスタイルを「試し」て、それが「道」となって選手たちが「続」いた。そうして踏み固められた「道」が、目的地である「優勝」へのルートを導き出した。そしてその「道」は経験によって洗練されていき、「連覇」という次の目的地にたどり着いた。

 昨季から主力のほとんどが入れ替わっておらず、若手からベテランまでチームの多くの選手が連覇の過程を経験していることは、未来へのとてつもなく大きな財産になる。風間前監督が築いたスタイルを引き継ぎ、発展させ、頂点に立ったことで得たもの。それはフロンターレが「常勝軍団」と言われるようになるための大切な材料になる。

 ムーアは前述の自著の中でこうも述べている。「地球の生命の歴史を通じて、わたしたちは旅をし、メッセージを伝え、混沌を整理し、知恵を保存するために道をつくってきた」と。

 今のフロンターレのサッカーには、中村をはじめ、小林悠、大島僚太といったどんな時にも欠かすことのできないピースがいる。長く在籍する彼らは多様な経験を積んできたが、仮にクラブを去ることになっても、これまで優勝を目指す過程で通った道は残り続け、そこで得た知恵は、クラブの文化として確実に受け継がれていくはずだ。

「続けるって大事だなと思います。何回も折れかけたことはありますけど、やっぱり(タイトルを)獲れていないことが自分の中でモチベーションにもなっていましたし、獲ったことでそれがまたモチベーションになるという。つまり何でもモチベーションになるんだ、自分しだいだなというのは思います。だから自分が『もういいか』と思えばそこでたぶん終わると思いますし、2年前のMVPも個人的には最高の賞ですけど、それでもチームのタイトルは獲れていないわけですから。

で、(タイトルを)獲れて、また獲れて、また来年獲りたいなと思っていますから。それはそうでしょ。それをやっぱり後輩たちに、これをフロンターレの日常にしていくという、自分の中でも役目があると思っているので。ただ本当にね、幸せな38歳だなと思います。こんな幸せな38歳はいないと思うんで、これは本当にみなさんに感謝したいと思います」

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