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イタリア代表のその後。W杯逃し、「今」はどうなっているのか? “時代遅れ”の戦術に賛否も

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

時代と逆行。課題克服は絶対条件

ロベルト・マンチーニ
イタリア代表を率いるロベルト・マンチーニ監督【写真:Getty Images】

 強力なストライカーは不在。FWの選手も積極的にパス回しに参加するような現戦術では、前線に張るだけのCFは置きにくい部分にあるかもしれない。ただ現時点で、ナポリで『ニセ9番』を務めていたドリース・メルテンスのような得点力のあるテクニシャンがいるわけでもない。

 RAIでスタジオコメンテーターを務めていたパオロ・ロッシ氏は「ポゼッション重視とはいうが、手数を増やすことで、かえって攻撃のスローダウンを招いてはいないだろうか」などと戦術そのものに疑問を呈していた。

 インシーニェやラツィオのチーロ・インモービレなど、所属クラブでコンスタントに得点を挙げているFWはいる。彼らが連係の習熟とともに、代表でも同じような得点への絡みが出来てくるようになれば、チームづくりはまた一歩先に住むはずである。しかし逆に言えば、それが出来なければ代表は今後も苦しむことになるだろう。

 さきのロシアW杯では、堅守の上に速攻を構築できるフランスやベルギーのようなチームが台頭し、ポゼッション重視のスペインやドイツが早期敗退している。

「ポゼッションサッカーは前時代的」などという言い方までされる中、今のイタリアはある意味流行とは逆行するようにポゼッションサッカーの構築を図っている。だが稚拙なフィニッシュワークが今後も改善できないのであれば、近代的な守備戦術を磨いている他国には勝っていけないだろう。

 いずれにせよマンチーニ監督は「今の成長ぶりは当初の予測を上回っている」と語り、今後を見据える。「あくまで目標はW杯に出ること」と現実的な視野で巻き返しを図るイタリアにとって、本番は欧州選手権の予選。それまでに彼らは、チーム力をどのようにアップさせていくのだろうか。

(文:神尾光臣【イタリア】)

【了】

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