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沈黙の“ロイス・システム”。好調ドルトに新たな課題。相手の対策を上回るためには?

text by 本田千尋 photo by Getty Images

相手の分析・研究も進んでいる

 そして何より守備ブロックの中で、なかなかロイスがボールを貰うことができない。チームが上手く機能している時には、主将が広く動き回ってパスを受け、散らすことでリズムが生まれる。だが、ブルージュもドルトムントを分析し、対策を練ってきたようだ。ブルージュの選手たちは上手く受け渡しながらロイスをマークした。スペースを与えられず、ロイスは仕事をさせてもらえない。65分には、右SBウカシュ・ピシュチェクと、CBマヌエル・アカンジの間まで降りてボールを貰ったが、上手く攻撃に繋げることができなかった。

 こうして“肝”を抑えられたドルトムント。最後までブルージュの固い守りをこじ開けることはできなかった。相手のカウンターが精度を欠いたため、失点することもなかったが、0-0のスコアレス・ドローに終わっている。

 もちろん引き分けでもグループリーグ突破が決まる状況だった。メンバーも準レギュラー陣が先発。今季ここまで結果を残している[4-4-2]で、ブルージュを圧倒できなくとも、多少は仕方がないところもあった。しかし会見でファブレ監督は「勝ち点1でも突破することを知っていたが、我々は何が何でも勝つつもりだった」と述べている。決してスコアレス・ドロー狙いのメンバー編成ではなかったのだ。

 こうして“ロイス・システム”は沈黙。やはり対戦相手のドルトムントに対する分析、研究は進んでいるようだ。ロイスを抑えられた場合、交代策で変化を加えるのか。それとも[4-1-4-1]、[4-3-3]など、布陣そのものを変更することで対応するのか。決勝トーナメント進出決定の一方で、新たな課題が噴出した、ブルージュ戦だった。

(取材・文:本田千尋【ドイツ】)

【了】

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