フットボールチャンネル

Jリーグ 5年前

東京V、J1昇格を集大成にできるか。ロティーナが仕込んだ下剋上のための戦略【J1参入POプレビュー】

text by 舩木渉 photo by Getty Images

上位のアドバンテージ、実は不利?

 8日に行われるジュビロ磐田とのJ1参入プレーオフ決勝では、大宮戦で退場処分を受けた内田が復帰予定。さらに横浜FC戦が負傷明けで途中出場だった、エースのドウグラス・ヴィエイラも「今はいい状態で、100%のコンディションでいる」と完全復活した姿を見せてくれるはず。役者は揃った。

 J1で16位とはいえ、ヴェルディより“上位”の磐田にはアドバンテージが与えられている。J1参入プレーオフ決勝をホームで戦え、引き分けでも”勝利”と扱われて残留できるのである。ただ、この2つの条件がマイナスに働いた例もある。それがヴェルディが大宮を破った、先月25日の試合だ。

 2試合連続で決定的なプレースキックを放っているヴェルディの柱、佐藤優平は大宮戦後に「アドバンテージ的にはああいう入り方になってしまうのかなと。自分たちももし逆の立場だったら、ああいう試合展開になっていたかなと思います」と話していた。

 彼の言う「ああいう入り方」とは、やや受け身で守りに重心を置いてしまうことを指す。大宮は守り切れば勝ち上がりが決められる状況で、自陣にブロックを敷いて相手の攻撃を待ち構えつつカウンターを狙う戦法だった。

 しかし、ヴェルディは1点以上奪わなければ勝ち上がれないため、当然ながら前がかりになって攻めてくる。その勢いを適切に処理できなければ、失点を喫して今度は上位チームが「1点」を求めて焦ることになる。「非常苦しいアドバンテージ」と佐藤は表現していた。

 今度は磐田が、底力を試される。ヴェルディは堅守といえど、ボールポゼッションを非常に得意としているチーム。4-2-3-1で構えたものの、人と人の間のスペースにどんどんパスを入れてくる相手に押されて全体がゴール前に押し込まれてしまったJ1最終節の川崎フロンターレ戦と同様の展開になってしまえば、それすなわちヴェルディのペースとなる。

【次ページ】打倒ジュビロでJ1へ

1 2 3

KANZENからのお知らせ

scroll top